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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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ディスウォAVENGERS小説【真夏の日4】

ディスウォAVENGERS小説【真夏の日4】

ディスウォの社長が後天性(もともとは男性だが、諸事情により)女体化話の第4話。
まだまだ続いた。(笑)
腐向けのアキトニですが、今回アキラ君は不在。キャプトニ感が否めない。(笑)
苦手な方はご注意ください。

『追記を読む(↓)』からどうぞ。



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ざわざわと揺れる木陰道。其処を息も切らさぬまま1人の“男性”が駆け抜ける。公園の水場から噴き出す噴水がきらきらと太陽の光を反射して“彼”の視界を涼やかに彩った。

“彼”は日本の真夏が嫌いではなかった。

それは小さなパートナーとの懐かしい日々を思い起こしてくれるからでもあり、また、信頼出来る仲間達と共に何物にも代えがたい時間を過ごせたからである。“彼”こと“スティーブ・ロジャース”は星条旗を纏ったスーツもヘルメットも脱ぎ、ランニングウェアという其処に住む人々と変わらぬ姿で街中をジョギングしていた。否。ジョギングと言うには軽過ぎる身体慣らしである。艶やかな金色の髪を揺らし、鍛え上げられた肉体が力強さを纏う、蒼い瞳が真っ直ぐを見据えていれば自然とすれ違う人々の視線を奪った。そんな人々の視線を視界の端で捉えながら、スティーブは小さく息を乱し、また整えるように息を吸い込み、僅かにスピードを上げて公園を駆け抜けた。
この程度のランニングでスティーブが息を乱すのは珍しく、その原因は3日前の夜の出来事が不意に頭を過ぎったからだ。
アベンジャーズの仲間であるトニー・スタークが瀕死の重傷を負った事件。ハンク・ピムの機転によりエクストリミスを摂取する事によってトニーは一命を取り留めたが、その後 行方不明となったトニーの消息は未だ掴めてはいない。掴めてはいない…と言う事になっている。S.H.I.E.L.Dの内部ではトニー・スタークへの疑いの目が広がりつつあり、事態の解明が急がれている。だが、今はまだ待つ事しか出来ないのだ。
小さく頭を振るい、思考を遮断したスティーブは呼吸を整える為に再び息を吐き出した。
商店街の入り口に差し掛かった辺りでふわりと薫ってきた珈琲の香りに(嗚呼。はやくトニーを連れて仲間の元へ戻り、珈琲を飲みながら談笑をしたい。)とスティーブの唇から哀しい苦笑が漏れる。視界の端に捉えた手書きの立て看板にはトニーの好きそうな甘いドーナツも描かれていて、スティーブはますます苦笑を歪めるのだ。

「今日は最高記録更新だ!日本人はこんなにナンパが好きだったか?」

ランニングの途中で響いた怪訝そうな女性の声にぴたりとスティーブの足が止まる。困っている人が居るならば立ち止まらずにはいられないのがキャプテン・アメリカの長所であり性質だ。例え今が一般人に扮したスティーブ・ロジャースであろうとも。
踵を返して商店街脇の細道を見れば、黒いスーツに身を包んだガラの悪い男性3人に女性が絡まれているようである。腕を壁に付けて女性が逃げられないように取り囲んでいる姿はなんとも情けなく、スティーブの正義の心に火を付けた。

「君達!」

声を掛けた瞬間に黒いスーツの男性達がスティーブに睨みを投げて寄越す。怪訝そうに不快声を鳴らして邪魔をするなら痛い目を見るぞと全力でアピールをしてくるが、残念ながらにスティーブに脅しは効かない。つかつかと寄って来るスティーブに睨みを鋭くした男性達。その男性の壁に付けていた腕を細い指でぐいっと押しのけた絡まれていた女性はひょっこりと顔を現すと、スティーブの顔を認識した途端ににんまりと笑顔を浮かべた。

「さすが正義の象徴は行動がスマートだ。君達も見習え。男性はスマートさが大事だぞ。」

パシパシと可愛らしく黒いスーツの男性の肩を叩き、するりと屈み込んで腕の障害物を抜けた女性は上機嫌でスティーブの方へと歩き出そうとする。ふわりと短い癖毛を揺らして、夏には少し暑すぎるだろう赤いパーカーを身に纏い、白く短いズボンからは すらりと伸びた細い足が美しい肌を晒している。男性達が興味を持つのも仕方がないとは思える程に、見るからに美女である彼女がスティーブに微笑みかければ、黒いスーツ姿の男達は女性の腕を些か乱暴に掴み、自らの方へと引っ張った。

「痛っ!何をするんだ!お前は今の話を聞いていなかったのか⁉︎」

首に回された腕を片手で掴みながら形の良い眉を吊り上げて女性は騒ぐ。少しだけ論点がズレているようだが、其処が気に入ったのか女性を拘束する男性は下卑た笑みを浮かべて女性の首筋に鼻を埋める。匂いを嗅がれていると気付いた女性は心底嫌そうに顔を歪めると、スティーブと視線を交わして、眉を下げて息を大きく吸い込んだ。(来る!)とタイミングを感じ取ったスティーブの足が自然と動き出した。

「良い匂痛あっ!⁉︎」

ダンッと勢いよく黒いスーツ姿の男性の爪先を踏む付けて、痛みの衝撃から緩んだ腕を振り払い拘束から抜け出した女性はスティーブの背後へと走り出す。女性が振り払った男性の腕を今度はスティーブが掴み、勢いを殺さないまま地面へと振り倒す。男性が強かに頭を打たないようにだけは気を付けて、襲い掛かってきたもう1人の男性もスーツの首元を掴み地面へと倒れた男性の上に投げ落とす。もう1人は、と視線を向ければポケットからナイフを取り出してスティーブに切りかかってきていた。

「スティーブ!」

掛け声と共に女性から投げ飛ばされてきた丸い物体にスティーブは反射的にそれを受け取り、丸い物体を盾のように使いナイフを受けて弾き飛ばす。

「刃物を持ち出すなんて危ないだろう!」

説教染みた口調で顎下から丸い物体を振り上げ、男性を積み上げて倒したスティーブは小さく息を漏らして、受け取った丸い物体を見て眉間に皺を刻む。女性に視線を向ければ、彼女はまるで舞台でも観終わったかのように態とらしく拍手をしてスティーブに微笑みかけた。

「これはゴミ箱の蓋だ。」

「ちょうどいい物がそれしかなかった。」

向日葵のように明るく笑う女性にスティーブはゴミ箱の蓋を元の位置に戻して微笑む。初めて会った女性の筈だが何故だか居心地の良さを感じ取りスティーブは不思議に思う。連携もまるで長年一緒に戦い続けていたかのようだ。ふと女性を見れば彼女はすんすんと鼻を鳴らして、ぱあっと華やいだような明るい笑顔を浮かべる。途端にスティーブの腕に女性の腕が絡みつき、スティーブは勢いに巻き込まれたまま商店街の入り口にある珈琲店舗へと連れて行かれる。ふわりと女性の髪から流れた香りがスティーブの鼻を擽った。

「いらっしゃいませ。」

「煙草は吸わない。窓際の席は空いてるか?」

にこりと優雅に美しく微笑みを浮かべた彼女に静かな店内は少しだけざわついた。ウエイトレスに案内されるままに進んで日当たりの良い窓際の席に進めば彼女はするりと腕を離して座る。暫く呆然と立ち尽くしていれば「どうした?」と小首を傾げるものだからスティーブは小さく笑って、彼女の向かい合わせの席に腰を下ろした。巻き込まれたと言うべきなのか、感謝のしるしなのか、顎に手をあててスティーブが思案すれば、女性はメニュー表で小さな壁を作りスティーブの手を小さくトントンと突っついた。スティーブの視線が女性に向く。

「ドーナツも食べたい。」

「頼めば良いじゃないか?」

不思議そうにスティーブが尋ねれば女性はむすりと唇を尖らせて、頬を膨らませてみせる。可愛らしいなとスティーブの頬が自然と緩んだ。

「選べない。このチョコレートも良いが、こっちのハニーも捨て難い。
珈琲を飲むにはチョコレートは甘すぎる。しかし、ハニーの甘さでは物足りないんだ。分かるか?
ドーナツで考えてるんじゃない。俺は珈琲と組み合わせた後味を考えて悩んでるんだ。」

女性は胸の前で腕を組み、眉を上げて真剣に語るものだからスティーブは小さく吹き出した。(トニーが言いそうだ。)と内心呟きながら、優しい眼差しで提案をしてみる。

「ならば幾つか提案をしよう。
1つ目の提案はチョコレートをきっぱり諦める事だ。君の思考通りにチョコレートは甘すぎる。
2つ目の提案はハニーを諦める事だ。ハニーの甘さでは物足りないかもしれない。
3つ目の提案は…」

スティーブの頬が自然と緩む。せっかく2人居るのだからと、提案した3つ目を彼女は上機嫌で採用した。
暫くしてウエイトレスに運ばれてきた珈琲は2つ。ドーナツもチョコレートとハニーの2種類だ。其れを紙ナプキンで上手く挟み、1つの皿に半分のドーナツが2種類並ぶようにスティーブは切り分ける。切り分けたドーナツを彼女に差し出して、スティーブは珈琲に手を伸ばした。香りの良い珈琲だ。

「ん…良い香りだ。」

瞼を閉じて香りに酔いしれる女性は夏の日差しに照らされて美しかった。震える睫毛が長く、柔らかな唇は幸福そうに微笑みを浮かべている。スティーブも珈琲を一口含んだところで、少し離れた場所から女性客達の小さな囁き声が届き、スティーブは動揺から珈琲を噴き出し咳き込んだ。ごほっ、ごほっと口に手をあてて焦るスティーブに女性は怪訝そうに眉を寄せた。

「おい、噴き出すな。汚いぞ。久し振りの珈琲で舌が受け付けなかったか?俺は毎日飲んでいるからな。この珈琲の素晴らしさも分かるさ。いいか?珈琲ってのは如何に人生を豊かに出来るか…」

まるで舞台に立つ女優のように優雅に語る女性の話も動揺したスティーブの耳には届いていなかった。離れた席に座っている女性客達がスティーブと女性を見て「素敵なカップルね。」と騒いでいるのだ。確かにと、記憶を蘇らせてみれば店内に入ってきた時に2人は腕を組んでいたし、同じ席に座っている。仲良くドーナツを分け合い、こうして2人きりで過ごしているのだ。端から見ればそう見えてもおかしくないのだろう。急に目の前の女性を意識をしてしまえばスティーブは頬に血が昇るような思いだった。

「聞いているのか?」

「嗚呼、すまない。考え事をしていた。」

「そんな所も素直だな。君らしいと言えばらしいが。」

やれやれと困ったように首を振る女性にスティーブは気恥ずかしさから頬を掻いた。何から何まで見抜かれているようで、そうであるなら普段ならば警戒心が浮かぶと言うのに、彼女には全く警戒心が浮かばないのだ。まるで隣に嵌るのが元から決まっているジグソーパズルのピースのようでスティーブは落ち着いた気持ちで彼女との珈琲タイムを過ごした。



カランと珈琲店の扉を開いて外へと出た2人に真夏の太陽の光が降り注いだ。
「暑いな…」と手で影を作りながら漏らす彼女はうっすらと汗を滲ませていた。暑さが苦手らしい彼女はぱたぱたと手で首元を扇いでみせる。
くるりと振り向き、額に指を翳して「じゃあな。スティーブ。」と告げて上機嫌に歩き出した女性にスティーブは「嗚呼。気を付けて。」と漏らしてジョギングを再開して木陰の道を走り出す。爽やかな風に吹かれてスティーブはジョギングのスピードを速める。悪くない出会いだった。美味しい珈琲とドーナツの店も、新しい場所も、彼女も。(今度はアベンジャーズのメンバーも連れて来よう)と自然と微笑みを浮かべ、其処ではたと気が付いてスティーブは立ち止まる。ちょうど赤信号となった横断歩道の手前で、振り向いてスティーブは彼女と出会ってからの自分の言動を思い返した。

「何故、私の名前を…?」

名前を1度も告げてはいない筈だが確かにスティーブを「スティーブ」と呼んだ彼女に、スティーブの手がするりと動き出した。連絡用の携帯電話を取り出して発信ボタンを押し、スティーブ・ロジャースはキャプテン・アメリカへと表情を切り変えた。
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コメント

メッセージ有難うございます。


てる様、こんにちは。瀬対ユウキです。
アベンジャーズとアイアンマンの小説をすべて読んで頂きまして有難うございます!
近頃私生活が忙しくなかなか執筆活動が進んでおりませんが、真夏の日は続きをゆっくりまったり執筆中ですので、お待ち頂けると有難い思いです。
期待に添えれる作品が執筆できるか分かりませんが頑張らせて頂きます。(・ω・*|壁
それでは拍手メッセージを有難うございました。

初めまして!突然すみません。

こんにちは。てると申します。
アベンジャーズとアイアンマンの小説全て楽しく読ませてもらってます(*´ω`*)
真夏の日続きがどうなるかすごい楽しみにしています!
これからも頑張って下さい(^ ^)

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