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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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AVENGERS小説【「父上」と呼ぶ声】

AVENGERS小説【「父上」と呼ぶ声】

フューチャーファイトのお話でウルトニ。
とキャプトニでスーパーファミリーで若干ニュアベ。
腐向けで暗いです。
「父上」呼びに萌えた結果の成れの果て。(笑)

『追記を読む(↓)』からどうぞ。





-------------------



「キャップ…来るな…」

頭の中でトニーの掠れた声が甦る。通信装置から届いた爆発音と戦闘音。あがる苦痛の声と呼吸音。途切れた通信に最悪の事態が頭を過った。どくりどくりと心臓が冷たい血液を全身に送り出す。
別次元からの侵略者達は美しいニューヨークの街並みを破壊して嗤う。我々は元凶である異次元の融合装置を破壊して、彼らの悪行を一刻も早く止めなければならない。だからこそトニーは私に「来るな」と告げたのだろう。だが、仲間を見捨てる事は私には出来ない。
「作戦変更だ。
チームを敵の装置破壊チームと、トニー救出のチームに分ける。」
私の指示にナターシャが片眉を上げる。名案ではないと告げているのだ。
「トニーからの通信状態からみても敵はウルトロンの軍勢だ。彼を1人には出来ない。」
盾を構えなおして指示を出す。集まったヒーロー達は私の指示にはよく従ってくれる。ニューヨークの街に詳しいスパイダーマンとルーク・ケイジ。アイアンフィストをトニーの救出チームに。残りのメンバーを装置破壊チームとしてあてがった。
彼らならば信頼出来る。スパイダーマンを見据え「アイアンマンを頼む。」と告げれば、スパイダーマンはマスクをかぶった頭をぽりぽりと掻きながらボロボロに破壊されたスタークタワーの窓を見据える。
「アベンジャーズは私情を挟まないってのは立派なんだけどさ。
こうゆう非常事態には困るんじゃないかな?長い付き合いってのもあるし…僕ならビルの合間を蜘蛛糸飛ばしながら飛んでっちゃうけどさ。ああ、キャップは移動手段がないから余計に?」
場違いに明るく笑うスパイダーマンに私は眉間に皺を寄せる。ナターシャは呆れたように溜息を吐き出して「スパイダーマンは組織向きではないのよ。」と呟いた。ルーク・ケイジは拳の調子を確認するように指を動かしながらニヤニヤと笑っている。
「嗚呼!そうだ!アベンジャーズじゃなくて、新しい方ならどうだろう?ニューアベンジャーズがいい!
そうだろう?ルーク!」
「ウルヴァリンとスパイダーウーマンが足りねえな。」
スパイダーマンとルーク・ケイジの意味の分からない会話に私が戸惑っていれば、アイアンフィストが小さく笑って踵を返す。これから救出作戦だと言うのに何処へ行くつもりなのだろうか?アイアンフィストを引き止めようと動き出せば、何かに背中を引っ張られピタリと体が動かなくなる。
「じゃあさっさとトニーを救出して、さっさと装置を破壊しに行きますか!」
スパイダーマンの明るい声と共にぐんっと引っ張られた背中。振り向けば私の背中に蜘蛛糸が張り付いていて、スパイダーマンの腕の動きに合わせて私は地上へと振り落とされた。
「スパイダーマン!一体何を⁉︎」
蜘蛛糸が伸び、高層ビルに張り付いては、離れてゆく。幾度も振り子から離され空中を舞った私は、スパイダーマンの巧みな手によって破壊された街並みをぐんぐんとスピードを上げて通り過ぎて行く。
「だってさー。トニーはキャップに通信を入れた訳だからさ。本当はキャップに助けに来て欲しかったんじゃないかな〜… なんてね。余計なお世話を働いてみた訳だけど。やっぱり余計なお世話だった?」
私の目の前で饒舌に語るスパイダーマンに私は暫し頭を冷やし、頸を横に振った。アベンジャーズは世界の危機には私情を捨てる。それが当たり前だった。だが、今のチームはアベンジャーズではないのだ。
「頼れる存在がいるなら頼らなきゃ。仲間なんだからさ。
そろそろだよ、キャップ。スパイダーセンスがびんびんきてる。」
スパイダーマンはそう告げると私を地上に降ろして周囲を見渡す。破壊された道路には戦闘で出来たのであろう亀裂が大きく残っている。静寂を貫くニューヨークの街並みが酷く不気味だった。
「着地点間違えたかも。」
スパイダーマンの声と共に私達を取り囲むように現れたウルトロンの軍勢。その内の一体の投げた金属片がカラカラと私の足元へと転がった。無惨たらしく凹む金色のアイアンマンのマスク。其れに目を奪われながら私は盾を強く握り締めた。
「キャップ…」
掠れた声が頭上から届いて空を見上げる。銀色に輝くウルトロンが生身のトニーの頸を締め、身体を持ち上げている。力が入らないのだろうダラリと墜ちた腕は抵抗すらも忘れたように投げ出され、腕からながれ滴る血が私の頬に降り注ぐ。
「良かったね、キャップ。まだ生きてる。
いま助けるよ、ママ!」
声と共に伸ばされた蜘蛛糸がトニーを掴むウルトロンの腕にべたりと巻き付く、ウルトロンは引っ張られた腕の勢いを其の儘に振りかざし地面へと急降下を始めた。衝撃を回避する為に構えた私とスパイダーマンの間にぐしゃりと肉の潰れる音が響く。
ゆらりと立ち上がったウルトロンの手にはいまだトニーの頸が掴まれている。まさか…!自然と速まる呼吸。
『愚かな人間達だ。父上は私の父であり、母であり、創造主。私のすべてだ。貴様の母ではない。』
告げる言葉が異常さを纏い心を削る。地面に広がる血海は誰のものかなど考える暇がなかった。トニーを掴むその指を離させようと振りかぶり盾を投げれば、ウルトロンの腕が再び不気味に動く。捧げられた生贄のように、盾の軌道上に揺れるトニーの身体。ばぎゃりと腕を砕け響く音が私の耳と心を抉る。
『愚かな人間達よ。お前達は父上を傷付ける咎人。泣き叫び赦しを乞え。そして滅びよ。世界にお前達は必要ない。』
「キャップ…」
「ウルトロンはこちらに攻撃して来ていない。我々にトニーを攻撃させるつもりだ。」
苦虫を噛み潰す想いで盾を握り締める。今の攻撃でどれほどの痛みと傷をトニーに負わせただろうか?ピクリとも動かないトニーはまだ生きているのかすら分からない。
「そうじゃなくって。誰か1人忘れてる。」
「おいおい‼︎忘れるなんてひでぇじゃないかよおおおっ‼︎」
スパイダーマンの声と共に鋭い叫び声が頭上から降り注いだ。忘れていた訳ではないルーク・ケイジが近くのビルから飛び出しウルトロンの顔面を殴り倒す。その隙をついて駆け出した私はウルトロンの腕からトニーを奪い返し、トニーの身体を支え盾を構えなおした。
『父上に触れるな!』
すぐに態勢を立て直したウルトロンの腕が鋭いパンチとなってルーク・ケイジを襲う。弾かれた身体を車にぶつけルークは小さく舌を鳴らした。
「残念だけど、君のパパは取り返したよ。知らなかったな。君がファザコンだったなんて。」
明るい口調で話すスパイダーマンだが、その真の声が怒りを纏っていると私は気付いている。仲間を傷付けられ、盾にされ、怒りに震えない者はいない。私も例外なくだ。
だが、何故だ?何故、ウルトロンは我々を攻撃してこない?今もまた、ウルトロンは私達を見据えたまま戦おうとはしていない。
「ぅっ…キャップ…」
意識を取り戻したのだろう腕の中で僅かに身じろいだトニーが掠れた声で私の肩を掴む。べったりと紅い血に濡れた手が私の顔を引き寄せた。
「ウルトロンは、待っているんだ。」
「何を?」
私の問い掛けにトニーは薄気味悪く笑い、狂気に満ちた眼差しを私の背後に向けた。
「アレが死ぬのを。君の世界のトニー・スタークだ。君が来てから渡そうと思って、ウルトロンには私が待てと命令した。さあ受け取ってくれ。」
ぞくりと悪寒が背筋を駆けた。奥歯を噛み、勢いのまま振り向いて、灰色の高層ビルの屋上からゆらりと揺れる影を見た。トニー!光を銀色に反射する躯に蹴り落とされ、身動きしないまま落下するその姿を見据えて足を踏み込み、全速力で駆け出す。私の動きに気付いたスパイダーマンとルーク・ケイジが一歩遅れて私の後を追って来た。
「愛する者を見殺しにされる痛みを君達も知るといい。」
私の背中に残酷に突き刺さる別次元のトニーの声。私達を取り囲んでいたウルトロンの大群が行く手を阻もうと攻撃を仕掛けてくる。走るスピードを落とさないまま、ウルトロンの顔を殴り、盾でタックルを仕掛けて道を開いてゆく。やめろ!肩を掠めたウルトロンの腕を盾で払い、足を踏み込んで続いて襲い掛かって来たウルトロンの胸部を殴り倒す。やめてくれ!迫り来る2体のウルトロンにルーク・ケイジの投げたウルトロンがぶつかり吹き飛ばされてゆく。間に合ってくれ!トニー!叫びそうになる喉がジリジリと火傷のように痛みを発した。
「キャップ!」
蜘蛛糸を車に張り付けたスパイダーマンがウルトロンに向かい車を投げ付け、ビルの壁に蜘蛛糸を飛ばした。私の腕を掴み取ったスパイダーマンは力強く頷くと、蜘蛛糸を掴みながら街中を飛び、着いた先の壁を蹴り上げて、私の身体を大きく振り回し投げる。
「スパイダーマンの運び屋だ!着地は任せるよ!」
スパイダーマンの力強い声を受けて盾を強く握り締めた私は落下してゆくトニーを見据えて声を張り上げた。どうか…!



『父上。』
ウルトロンの腕に抱き上げられて私は漸くに息を吐き出した。エクストリミスによる身体の修復。それに伴う躯の熱はいつ迄経っても慣れはしない。細胞分裂を高速で繰り返し行う為なのか、人間の身体とは実に不便だ。キャプテンアメリカの盾にぶつかり粉砕骨折した腕の修復に呻く私をウルトロンは強く抱き上げる。
『父上。何故 貴方が私の盾となり傷を負わなければならなかったのですか?』
ウルトロンの問い掛けに自然と自嘲が漏れた。簡単な答えだ。
「お前の為に。ウルトロン。
敵を欺く為とは言え私はお前の傍を離れた。永遠に離れないと誓ったのに。この折れた腕はお前の心の痛みへの償いだ。」
ウルトロンの胸へと寄り添い躯の力をすべて預ける。躯の修復にはまだ時間が掛かる。AIであるウルトロンは私の言葉を正確に理解出来ているだろうか。額に浮かぶ汗に手を動かし拭おうとすれば、ウルトロンの冷たい指先が私の手を制止し、額の汗ををゆるりと撫で拭う。愛を知るウルトロンは復讐に身を投げた私をどろどろに溶かそうとする。
『父上。この世界の貴方であるトニー・スタークは助かりました。』
ウルトロンの報告にガチリと奥歯を噛み締める。私はヴィランだ。ヒーロー達を赦しはしない。やわりと私の唇を撫で、口内に2本の指を捩じ込み、私が奥歯を噛み締めないように指を動かしたウルトロン。金属の指が私の舌をゆらゆらと撫でて熱を煽る。次第に私の口内で激しく動き出す2本の指。舌を絡め取り、挟んでは、押し潰す。
「は…ぅ…んんぅ…!」
漸くに引き抜かれたウルトロンの指に私の唾液が絡まりてらてらと妖艶に輝きを放つ。
『父上。』
紅い輝きが私を見据え、まるで深いくちづけのようだと私は小さく微笑んだ。次は逃がしはしない。





私は“彼”を創造してはいない。
私の世界で“彼”の創造主はハンク・ピムだからだ。
しかし“彼”は私を『父上』と呼ぶ。
“彼”の世界での創造主は私なのだろう。滑稽な話だ。まるで噛み合わない歯車。
しかし故に“彼”は私をよく知っていた。
私の全てを理解し、私の傍に立とうとする。世界を愛し、愛される事を望む機械人形。
だが、“彼”は私を知らない。
私は“彼”が知る私ではないのだから…。




びしゃりと薄汚い肉塊が地面に落ちた。僅かな駆動音を響かせて右腕を振るうウルトロンはまるで勇猛な指揮者のようだ。ニューヨークのビルの屋上に立ち、夜景に指揮棒を振るい、数多の複製品で人間達を駆逐してゆく。止まらない悲鳴と、破壊の音。私好みのオーケストラ。
屋上から眺める景色は美しい。炎が燃え盛り、人々は逃げ惑う。
「お願い!助けてぇ!」
響いた女性の悲鳴が私の無意識に訴える。唇の端がゆらりと動いた。
「お願いだ…助けてくれ…頼む…頼む…頼むから…」
掠れた声を出せば私の傍に立つウルトロンは紅い瞳で私を見据えた。
『父上。』
「ウルトロン…彼女は可哀想な人だ。降りかかった厄災に怯えている。恐怖と痛みに泣きながら助けを求めているんだ。ヒーローに。
なあ、ウルトロン。お父さんの願いを叶えてくれるか?」
私の言葉にウルトロンは変わらない筈の表情を変えた。歓喜だろう。ウルトロンが右手を払うように振るえば地面からグシャンと肉塊の裂ける音がする。紅い血が道路を染めて私は自身の頬を撫ぜた。
「可哀想な子だ。ヒーローに助けを乞い、彼らに縋っても無意味だと知らない。私は彼らを赦さない。彼らに縋る事も!」
私の中で憎しみの炎が燃え盛る。ウルトロンはそれを察知したのだろう私の肉体を背後から抱き寄せ、まるで愛おしむように私の額にキスを贈るのだ。幾度となく思い出す。私の人生でもっとも残酷であった瞬間を。

私の愛おしい存在。白く美しかった肌は焼け爛れて赤黒く、いつも安らぎを与えてくれた細い髪はちりぢりに燃え散った。私は目の前で彼女を、彼女であった全ての物質を焼失したのだ。彼女を救える筈だった。私が治療薬を開発して、あとは治療薬を彼女に投与するだけだった。投与すれば彼女は助かっていた。それなのに…
彼らは私を引き留めた。私の体を羽交い締めにして押さえ、私が「頼むから!助てくれ!彼女を救わせてくれ!」と泣き叫んでも聞く耳を持ってはくれなかった。私の手には治療薬があったのに…。ヒーロー達は、私の愛する人を見殺しにして、私の命を護る事を優先とした。
例え、治療薬の成功確率が5%の賭けだったとしても…私は……

『父上。』
不意に掛けられた声に記憶の波から戻る。知らない間に私は泣いていたのか、ウルトロンの冷たい指が私の頬を優しく撫ぜた。私の体を抱き締める腕の力が僅かに強まる。
「ウルトロン。私の愛をすべてお前に捧げよう。だから、私の願いを叶えてくれ。」
『世界に人間は必要ありません。貴方以外には。』
「そうだ。必要ない。私の意思を害する存在は要らない。私の願いを無視する存在など要らない。私の信頼を奪う存在など要らない。
ヒーローも、人間も、必要ない!」
私の心が復讐に燃える。ウルトロンは私の心をよく知っている。私の願いを聞き、虐殺を再開する。ヒーロー達よ、来い。私達の元へ。願わせてやる。大切な存在を奪うなと。叫ばせてやる。頼むからと。
私はウルトロンに手を伸ばして唇の端をあげた。ウルトロンが好む微笑みでウルトロンの望む愛を与えてやる。
「愛している。ウルトロン。私の可愛い息子。」
『父上。やっと貴方を手に入れた。』


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