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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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AVENGERS小説【惜しむ日々を】

AVENGERS小説【惜しむ日々を】

アルティメッツを読んで書きたくなったお話。
アルティメッツearthで仲良しBIG3(社長とソーさんとキャップ)とジャーヴィス。


『追記を読む(↓)』からどうぞ。




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「惜しいな…」
ソーが呟いた。ジャーヴィスが持って来たクッキーを豪快に頬張りながら、彼は天井に輝くシャンデリアを見据えている。その瞳は細められ、何処か切なげだ。
「何がだ?」
トニー・スタークはソーに問い掛けてワインを口にふくめる。香りを鼻腔で楽しみ、舌を深い味わいの海に浸す。
「このように親しき友人達と語り合い、美味い紅茶を飲む事があと何度できるのか考えた。」
「私はワインだがな。」
ふわりと手にしたワイングラスを揺らし答えたトニーにソーはにこやかに笑う。笑顔の似合う男だ、とトニーは心中で囁いた。
「何度でも出来るさ。僕達が負けなければ。何度でも。」
スティーブ・ロジャースが会話を続けるように呟いた。新たに焼き上がったクッキーを運んで来たジャーヴィスが小さな会釈をして空いた皿と取り替える。どうやらソーは焼きたてのクッキーを気に入ったらしい。甘く焼かれたクッキーをサクサクと音を鳴らし頬張り続ける。その一つを手に取りスティーブはソーへと眼差しを向けた。
「何を愁傷になっているんだ?
ホームシックかい?まさか地球から引越してアスガルドへ…」
問い掛けた声にソーはまさかと手で制止して微笑んだ。新たなクッキーを手に取り、ソーは瞳を再び細めて小さく言葉を漏らす。
「戦には負けぬ。我等が力を合わせれば、どんな敵にも勝てると確信している。
だがしかし、此れが最後かもしれぬのだろう?」
暫しの沈黙にトニーはワイングラスを揺らした。
「戦の前ならば自らの死とともに友を喪う覚悟も決める事が出来る。
だが、もしやもすれば明日にでもこの平穏無事は崩れるやもしれぬのだ。それが惜しい。」
ドサリと椅子に寄り掛かったソーは肩を沈めて瞳を細める。眼差しの向こうにはワイングラスをテーブルに置いたトニーが小さく横に頸を振り苦笑をしていた。
「惜しいな…」
「私はまだ死んではいないのだが…
誰かソーを酔わせる程に強い酒を飲ませたか?それとも私達はまだ飲み足りないのだろうか?」
空気を変えようと笑うトニーにスティーブはトニーが先程まで口をつけていたワイングラスを奪い、ごくりと喉を鳴らし酒を流し込むと小さく微笑んだ。
「嗚呼。酒が足りないのだろう。酔いが浅いから気分が沈む。
深酒をすれば鬱気も払われ、何事もなかったかのように今日と同じ朝を迎えれるだろう。」
コトリ。と目の前のテーブルに置かれたワイングラスにソーは唇の端をあげて手を伸ばした。ワイングラスに反射するトニーの表情は歪んで微笑み、ソーはやはり惜しいと心中で囁いた。出会った瞬間から別れが決まっていたのだ。脳に出来た腫瘍のせいでトニーの寿命はあと半年か、長くて5年…。願わくば“その日”がずっとずっと後である事を。祈るようにソーはワインを飲みこむ。
「菓子に合うワインをお持ち致しました。トニー様は、程々になさいませ。」
「私の楽しみを奪うつもりか?ジャーヴィス。
彼等と乾杯をするところだ。これからがパーティーの本番だろう?」
やれやれと肩を大袈裟に竦めてみせるジャーヴィスに微笑みソーは新たなワインに手を伸ばした。重なり合ったワイングラスが高い音を鳴らす。酒を浴びるように飲み、穏やかな談笑を続け、肩を揺らし、やはりソーは惜しいな…と心中で囁くのだった。
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