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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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ディスウォAVENGERS小説【遊園地デート】

ディスウォAVENGERS小説【遊園地デート】

タイトルそのままにDWAのアキトニ遊園地デート。完全に腐向け。
毎週この2人が可愛くてたまりません。


『追記を読む(↓)』からどうぞ。



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「本日は快晴。お出掛けをするには最適な気温となるでしょう。」
天気予報を報じる女性の声をTVから流し聞きながら、アキラは鏡の前で盛大に跳ねた寝癖のついた後ろ髪を一生懸命に撫でていた。櫛でといて、水に濡らし、また櫛を髪にとおしては項垂れる。
「嗚呼、もう!寝癖直しのスプレーを買っておけば良かった!」
本日 何度目かの台詞を大きく叫んでは洗面所を覗いたヒカルに苦笑される。
「だから、昨日 お風呂に入った後にはやく髪を乾かした方がいいって言ったんだよ。アキラ。」
「だって!着ていく服が決まらなかったんだから、しょうがないじゃないか!」
半ば涙眼になりながら訴えるアキラは悩みに悩んだ末に、洋服をぐちゃぐちゃに投げ出し皺まみれにして、結局はいつもと同じ服装だ。見事に気合いが空回る弟に苦笑がとまらないヒカルは小さく溜息を吐き出して、アキラの頭に赤色の帽子をかぶせて寝癖がついた髪を帽子の中へとぎゅっと押し込んだ。
「時間。間に合わなくなるよ。」
さあ、行っておいで。とアキラの肩を押してヒカルは玄関の扉を開く。きらきらと眩しい朝陽が道を照らして、アキラははにかむように微笑んだ。
「行って来ます!」
「行ってらっしゃい。」
玄関から勢いよく飛び出して喜びを表現するアキラを見送ってヒカルは小さく溜息を吐き出した。キッチンに戻ってアキラが片付け忘れたテーブルの上の食器をシンクに運んで洗う。そうして水に濡れた白いお皿を食器乾燥機に入れれば、ヒカルはアキラに見つからないように食器棚の上に隠していたニューヨーク新聞を取り出して再び深く溜息を吐き出した。



アキラはアスファルトの道を全力で駆け抜けながら自宅にインラインスケートを置いて来た事を激しく後悔していた。昨夜は緊張と興奮からかよく眠れず、うっかり乗っていたバスの中で揺られる心地良さに眠ってしまい、降りるはずのバス停を通過。幸いにも次のバス停で飛び起きたのだが、バスを降り、逆方向へのバスに乗って目的地のバス停へと辿り着いたのは待ち合わせ時間の2分前だ。バス停から距離のある目的地にはどんなに急いでも待ち合わせ時間に間に合いそうもない。
息を切らせ全力で走りながら漸く見えた遊園地の入り口。待ち合わせの時刻からはもう20分も過ぎている。慌てて出掛けたせいか携帯電話まで自宅に忘れてしまい遅刻の連絡が出来ない事を(とことんついてない。)と泣きそうに思いながら、肩で息を切らし、服の袖で流れる汗を拭いながらアキラはきょろきょろと遊園地入り口の周囲を見渡した。
もともと今日の遊園地デートはアキラから誘った訳ではない。もちろん相手からでもなく、相手のビジネスパートナーである女性が2人の気晴らしにと急遽予定をたててくれたものだ。
(せっかくのデートなのに、約束の時間にも連絡なしで待たせるなんて怒って帰っちゃったかも。)
袖でぐずりと霞んだ視界を撫で拭けば、ぽすりとアキラの頭の上に遊園地のマスコットキャラクターらしき白兎の縫いぐるみが乗っかって、アキラの手の中に降って来る。縫いぐるみを慌ててキャッチして、アキラが背後を振り向けば、デートのお相手であるトニーは満足そうに微笑んでアキラを見据えて立っていた。

「遅くなって悪かったな。アキラ。道の途中にそのブサイクなような、可愛いような…やはりブサイクだな。まあ、縫いぐるみを見つけてな。取ろうとクレーンゲームをしていたら約束の時間が過ぎていた。文句ならすぐに取らせなかったその縫いぐるみに言ってくれ。」

悪びれた風もなく、自信満々に微笑むトニーにアキラは耳まで真っ赤に染めて呆然と立ち尽くす。それも当然なのだろう。ヒーローとして活躍し、有名人であるトニーは正体を隠す為なのだろうが、アキラの服とよく似た赤色のパーカーを着て、パーカーの帽子をしっかりと深くかぶり、長い袖で萌え袖を演出している。いつもとは全く違うトニーの雰囲気にアキラは心臓を高鳴らせて、それを誤魔化すように顔を俯かせた。
(トニー、すごく可愛い…。それに、赤色のパーカーなんて俺とお揃いみたいだ…。)
昨夜 洋服を皺くちゃにした自分を褒めたくなりながら、アキラは「仕方ないな!」と強気の口調で左手をトニーに差し出す。
「今日はデートだから。手を繋いで歩いてくれたら遅刻は許す。」
照れから頬を紅く染めて、むすりと怒ったふりをするアキラにトニーはぱちくりと瞳を瞬かせて、やがて噴き出し笑い出した。静かな遊園地の入り口に笑い声がよく響く。
「なんだよ?」
「いいや。手繋ぎか。まだまだお子様だな。アキラ。」
トニーの遠慮のない笑い声にアキラは唇を尖らせて拗ねてみせる。
「子供じゃない。」
「やれやれ。拗ねるな、アキラ。」
困ったように呟き、するりと動いたトニーは空いていたアキラの右手にそっと左手を絡ませてぎゅうと強く手を握る。触れたトニーの手の冷たさに(嘘だ。やっぱり本当はトニーを待たせていたんだ…!)と勘付いたアキラは眉間を寄せてトニーを見据えた。
「いいか。アキラ?紳士は親切でなくちゃならない。日本の通行人は進行方向に対して道の左側を歩く。なら、2人で横に並んで歩く時に車が通って危険なのは?右or左?」
「右側の人?」
「そう!さりげなく紳士は右側を取る。相手を護れるようにな。モテる秘訣だぞ。」
にっと微笑みながらトニーはアキラと握った手を持ち上げる。アキラは右手。トニーは左手を繋いでいる。つまりはトニーが右側だ。
「嗚呼っ!なんで右側を取るんだよ!俺がトニーを護るのに!」
「言っただろう?さり気なくが紳士だ。お前は子供だからな。左側にいろ。」
愉快そうに微笑むトニーにアキラは右手を離そうともがく。が、左手はトニーに渡された白兎の縫いぐるみに塞がれ、右手だけで頑張るがトニーも負けじとアキラの手を強く握り締めて離さない。さらには最初からの作戦だったのか、トニーは右手をパーカーの腹部にあるポケットに入れたままで、手を差し出す気はさらさらないようだ。
散々に粘って抵抗したが漸くに諦めたアキラは「ちぇー。次の時は右側は俺が取るからな。」と宣戦布告する。
「言ってるだろう?紳士はさり気なく。予告してどうする?」
愉快そうに笑顔をみせるトニーにアキラはむすりと拗ねたふりをして唇を緩ませた。次の時は、を否定されなかった事が嬉しいのだ。
「あーっ!トニーの意地悪に付き合ってたら時間なくなっちゃうじゃないか!はやく!ほら、行こう!」
握り締めた手を引っ張ってアキラは足を速める。楽しまなきゃ損だ。デートなんだから。
ぱたぱたと駆け出すアキラに引っ張られてトニーの眉間に僅かに皺が刻まれる。フードを伏せて声を張ればトニーはアキラに問い掛けた。
「アキラ、何処へ行くつもりだ?遊園地なんだから乗りたい物が沢山あるのは分かるが、ちょっと落ち着け!相手に合わせろ!紳士は焦るな、だ。」
トニーの言葉に振り向いたアキラは速る足も緩めないまま、目をきらきらと輝かせて縫いぐるみを握った左手を伸ばす。
「あれ!1度トニーと一緒に乗ってみたかったんだ!」
アキラが指し示したのは絶叫マシンでお馴染みのジェットコースターだ。今まさに搭乗しているのだろう名も知らぬ女性達の悲鳴なのか歓声なのか分からない叫び声が轟音とともに響き渡り、耳をつんざく。
「アキラ。俺はいつもアイアンマンのアーマーを着て、マッハのスピードで急上昇、急降下、旋回をしてるんだぞ?」
「知ってるよ。だから、一緒に乗ろう!まさか怖いわけないよな?アイアンマンだもん!」
「もちろん。怖くないさ。」
トニーの自信満々の言葉にアキラはにっこりと微笑み、2人はジェットコースターの整理列へと並ぶ。



「怖くないって言ったよね?」
「言った。」
「でもさ、トニー凄く叫んでた。」
「…言っておくが、本当に怖くはなかったんだからな!」
瞳に薄い涙を溜めてベンチに座るトニーの顔色は青褪めている。心なしか肩も震えているようでアキラは近くの自動販売機に駆けてペットボトルのミネラルウォーターを買って来た。
「トニー・スタークの意外な弱点。
俺達だけの秘密。な、トニー。」
冷えたペットボトルを差し出しながら、2人だけの秘密が嬉しいのが飛び切りの笑顔を向けるアキラ。
そんなアキラにトニーは眉を吊り上げて怒鳴り出す。
「だから!俺はジェットコースターなんて怖くない!」
「じゃあもう1回乗る?」
「乗らない。」
ぷいと顔を背けたトニーは子供のようで大人気ない。アキラは肩を揺らしながら笑うと、トニーの頬に冷たいミネラルウォーターのペットボトルを押し当てる。
「冷たいぞ、アキラ。」
「これ飲んだら気分もすっきりすると思うよ。ジェットコースターにはもう乗らない。約束する。だから機嫌なおしてよ、な?トニー?」
アキラの優しい言葉にトニーは小さく眉を下げると瞼を閉じて左手を持ち上げ告げた。
「紳士はさり気なく優しくするもんだ。ペットボトルの蓋を開けてくれ。それくらい、小さな紳士でも出来るだろう?」
小さな紳士と言われた事に「小さくなんてない。」と小言を漏らしながらもアキラはペットボトルの固い蓋をひねり回す。パキリと音を鳴らして開いたペットボトルをアキラから左手で受け取ったトニーは安堵したように息を吐き出して冷たいミネラルウォーターに口をつけた。こくりと喉を鳴らし、冷水を流し込むトニー。簡単にあくペットボトルの蓋をあけてくれと頼まれて(もしかしたらトニーに甘えられたのかもしれない。)と感じたアキラは嬉しさに心の奥が擽ったくなる。少し休息を取ったおかげだろうトニーの顔色も良くなってきたようで、アキラはいまだ腹部のポケットに入ったままの右手は諦めてトニーの左手に再び指を絡めて優しく握り締めた。
「次はゆっくりしたのに乗ろう!トニーは何に乗りたい?」
指を絡めたままペットボトルの蓋をしめて、トニーの顔を覗き込むように問い掛けるアキラ。トニーは穏やかに微笑んで「お前が乗りたい乗り物でいい。アキラ。」と告げて座っていたベンチから立ち上がった。

観覧車。メリーゴーランド。お化け屋敷。絶叫マシンを避けて2人は遊園地をまわり、手を繋ぎながらデートを楽しんでゆく。時々すれ違う人々に「見て。仲の良い親子ね。」と囁かれながら、アキラは内心で(親子じゃなくて、恋人なんだからな。)と反論しながら繋いだ手を強く握り締めていた。
「アキラ。そろそろ食事にするか?」
ゆっくりと遊園地をまわっていたせいで時刻はもうすっかりお昼を過ぎている。アキラのお腹が鳴り出す寸前のタイミングで問い掛けたトニーにアキラは「うん!」と瞳を輝かせて頷いた。
微風が心地良い屋外テーブルを見付けて2人は腰をつける。屋台に似た小さな売店は焼いたソースの香ばしい匂いを周囲のテーブルに漂わせていた。
「トニー、何が食べたい?」
「ハンバーガー。手が汚れないように包装に包まれてるやつ。ないならホットドッグ。手が汚れないように…」
「分かった!分かった!なんで包装に拘るんだよ。」
左肘をテーブルにつきながらニコニコと微笑むトニー。その唇がまた「紳士は…」と言い出す前にアキラは売店へと駆け出してゆく。トニーリクエストのハンバーガーを見付けて、包装があるかを確認。頷きながら売店の注文口へと近付いてアキラは足を止めた。其処から見える店内の調理場には小型のTVが設置してある。そして、其処に流れているニュースには赤と金のあの特徴的なアーマーが映し出されていた。
「はい。お次のお客さん、御注文は?」
「………。」
女性店員の問い掛けにも気付かずにアキラはニュース映像に見入ってしまう。あのアーマーの中にいる筈のトニーは、今まさにアキラと一緒に居るのだからあれは録画された映像なのだろう。しかし、それはアキラがまだ見た事のない映像だった。
「お客さん、アイアンマンのファンかい?」
「えっ⁉︎あ、う、うん。まあ。」
流石に「恋人です。」とは言えずにしどろもどろになりながら応えれば、女性店員は眉を緩く下げて溜息を吐き出した。
「心配だよねえ。ヴィランとの戦闘で右腕を怪我したんだろ?どんなに強いアーマーを着てても中身は人間なんだからねえ。」
「怪我?」
その言葉に目を丸くしたアキラに女性があらあらと頬に手をあてる。
「知らなかったのかい?2〜3日前からニュースで報道されてるよ。ニューヨークの市街地でヴィランと戦闘になって、市民を護る為に瓦礫の下敷きになったみたいだよ。右手首と右腕を怪我したって。はやく治るといいね。」
女性店員の言葉を頭の中で反芻してアキラは椅子に座ったままのトニーへと振り返る。トニーは余所見をしている様子だったが、その右手はいまだ赤色のパーカーの腹部のポケットにしっかりとしまわれている。そもそも袖がやたら長いのも怪我を隠す為だったのだろう。
そうしてやっと思い至る。
最初に出会った時、手を繋ごうと手を差し出したのにトニーは左手を絡ませてきて手を繋がれた事。ジェットコースターに乗った時の叫び声や青褪めた顔色は絶叫マシンが怖かったのではなく、ジェットコースターの動く振動によりまだ癒えていない傷が酷く痛かったのであろう事。ペットボトルの蓋をあけてくれと頼まれたのも、甘えてではなく、右手が使えなかったからだと言う事。
そして、包装されたハンバーガーに拘ったのは片手でも食べれるようにする為。
(俺、まったく気付かなかった。)
不甲斐なさと悔しさからアキラは瞳に涙を溜めて俯く。震える小さな肩に女性店員は頬を綻ばせてアキラの頭をぽんぽんと撫でた。
「大丈夫さ。アイアンマンは強いんだろう?それに、『アイアンマンには困った時に力になってくれる最高のパートナーが居る』って、彼自身も言ってたからね。きっとすぐに良くなってまた元気な顔を見せてくれるさ。」
(最高のパートナー…。)
涙を零しそうになりながら強く頷いたアキラは右手で2の字を作り上げて大きく声を張り上げる。
「ハンバーガーを2個!フライドポテトとサラダとジュース付きで!」

白いトレイにハンバーガーとフライドポテトとサラダとジュースをそれぞれ2個ずつ乗せて運んで来たアキラにトニーは小さく微笑みを浮かべる。
「なんだ、アキラ。ナンパでもされてたか?綺麗な女性店員に頭を撫でられて鼻の下でも伸びてるんじゃないか?」
「俺を子供扱いしてただけ!もしかして、トニー。ヤキモチ妬いてる?」
「俺が?まさか!」
余裕をみせる表情からはトニーの本音は見えない。アキラはトレイをテーブルの上に置いて、自分の座る椅子をトニーの隣りへと引き寄せた。
そうして手に取ったハンバーガーの袋をガサガサと開いてアキラは手を伸ばす。
「紳士はさり気なくだろう?
あと、俺が鼻の下を伸ばすのはトニー相手にだけだから!」
頬を赤くしながらハンバーガーをトニーの口元に寄せるアキラ。(此れはバレたな…。)と苦笑したトニーは右手を腹部のポケットから取り出してアキラが差し出すハンバーガーに素直に噛り付いた。アキラによって労わるようにゆらりと撫でられた怪我した右手も、きっとすぐに治ると2人は信じている。
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