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瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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ディスウォAVENGERS小説【勇敢な村人の夢をみる】

ディスウォAVENGERS小説【勇敢な村人の夢をみる】

社長の弱点を知りたいアキラ君。
ディスウォのテック組。
腐向けでない健全なお話です。

『追記を読む(↓)』からどうぞ。





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俺のパートナーはとても我儘だ。天才で自信家、ナルシストだし。いつも偉そうに命令ばっかりして人遣いが荒い。負けず嫌いでどんな些細な事にもすぐに対抗心を燃やしてくるし、口の悪さも世界一。
でも、本当は優しい人なんだって知っている。ピンチの時には俺の事をいつも護ってくれるし、俺の強がりも不安も見抜いて「俺は天才だぞ。大丈夫だから俺を信じろ。」って安心させてくれる。強くてかっこいい。俺のパートナーは最高だ。けど、少しだけさみしいんだ。だって俺はアイアンマンの…ううん。トニーの弱さを見たことがない。



「え?スタークさんの弱点?」

問い返してきた兄さんは俺に暖かなマグカップを渡して首を傾げた。

「「「我儘で自信家で子供っぽい所。」」」

見事に重なったクリスとジェシカとペッパーさんの台詞に俺は苦笑いするしかなかった。

「あと、ペッパーさんにも、弱いかも…」

エドが恐る恐る話して兄さんも苦笑する。

「そうゆうのじゃないんだよな…。」

俺はマグカップに口をつけて小さく声を漏らした。マグカップの中のホットミルクはちょっと熱くて舌を火傷しそうだった。俺の言葉にみんなが顔を見合わせる。

「みんなが知ってる弱さじゃなくて、パートナーだけしか知らないような弱点。」

俺はトニーを知らない。過去の、俺と出会う前の事とか。未来の事とか。トニーは俺には何も話さない。まだ子供の俺には理解出来ないからなのかもしれないけど、俺はトニーの事をもっと知りたかった。

「本人に直接聞くしかないんじゃないかしら?
あの我儘なトニーが自分の弱点を話してくれるかは不安な所だけれど。」

「眉を吊り上げて「天才の俺に弱点なんかある訳ないだろう!」って言うんじゃないかしら?」

ジェシカが人差し指で眉を押さえながらトニーの物真似をしてきて俺はホットミルクを吹き出しそうになった。トニーなら言いそうだ。それが可笑しくって声に出して笑えば、ジェシカやペッパーさんもくすくすと笑い出す。「うん。言いそうだね。」と微笑んだ兄さんにクリスとエドまで笑い出した。聞いてみよう。トニーに直接。本当に「俺に弱点なんてない!」と言われるかもしれないけど。




「ディスクモード!」

自分の部屋に戻ってタイムモードにしていたディスクを元に戻す。小さなホログラムがアイアンマンの姿になると、トニーはフェイスマスクを上げて俺を睨んだ。まずい。怒ってる。

「遅いぞ、アキラ!俺は世界に散らばったディスクの解析をしなきゃならないんだ。帰宅したらすぐにディスクモードにしろ!
それとも、俺に聞かれてはまずい話でもしていたのか?今度は何を壊した?物によっては許してやらん事もないぞ。」

いきなりの上から目線に苦笑が漏れる。ホログラムのトニーにベッドの上に降りてもらって、俺もその横に座った。怒ってるように見えるけど、本当は俺の事を心配してくれているんだよな。分かりにくい。思わず笑ってしまえばトニーは眉間に皺を寄せた。

「なんにも壊してないよ。
どっちかって言うと、聞かれたくない話かな。」

ちらりと横目で様子を伺えば、トニーはますます眉間に皺を寄せる。「アキラ」と深刻な声で呼ばれて、顔を向ければトニーは真剣な表情で口を開いた。

「俺は誰だ?」

「トニー・スタークで、アイアンマン。」

「そうだ!天才でヒーロー。そして俺はお前のパートナーだ。そんな俺に聞かれたくない話があるだって?
恋話か?そうだとしても俺は世界でも有名なプレイボーイだぞ?女性の口説き方なら幾らでも教えてやれる!パートナーに隠し事はなしだ!さあ、話してみろ!」

トニーの言葉に俺は唇を尖らせてもう一度尋ねる。

「俺達はパートナー?」

「そうだ。」

「隠し事はなし?」

「嗚呼。」

真剣な表情で頷いたトニーに俺はにっこりと笑ってベッドに寝転んだ。うつ伏せになりながら腕の上に顔を乗せて、内緒話をする態勢で。

「じゃあさ、みんなが知らないようなトニーの弱点を教えてよ!」

「弱点ん‼︎?」

驚きに顔を歪ませたトニーが素っ頓狂な声をあげる。予測してなかったんだろう俺の言葉にトニーは明らかに動揺してみせた。俺は目線で「俺達はパートナーだ、隠し事はなしだって言ったよね。」と訴えながらトニーの言葉を待った。

「俺の弱点は…ない!俺は天才だぞ!ある訳がない!」

嘘だ。むすりと表情で不満を表してみせればトニーは誤魔化しの笑顔をやめて溜息を吐き出した。トニーはぴょんと俺の肩に乗って、至極まじめで繊細な声を出した。

「たまに夢をみる。」

「夢?」

「山の麓に“俺”はいるんだ。其処には古びた村がある。水を飲むのにも井戸を動かし、組んで、運ぶ。電気も通ってなくて、火がなければ夜は真っ暗闇に包まれる。人々は畑を耕して、些細な祝いにだけ酒を飲む。とても古びた村だ。
山の麓には暗い洞窟があって、其処にはドラゴンが住み着いている。空を飛べる巨大なドラゴンだ。だが、ドラゴンは洞窟で眠ってばかり。飛べるのに飛ばないドラゴンは時々 武器を持って現れる村人を尻尾ではらい、気紛れに威嚇をしては、すうすうと眠りこけていた。
ある時、勇敢な村人の1人がそんなドラゴンの前に現れて、声を荒げた。「空を飛べる翼を持ちながら、お前は眠りこけてばかりで、何を見てきた!」と。勇敢な村人はドラゴンの胸に杭を打ち、洞窟から引き摺り出して古びた村に連れて行った。
真夜中なのに村は炎で煌々と燃えていた。ドラゴンが眠っている間に吐き出した炎で古びた村は焼かれ、井戸は枯れ、人々は逃げ惑い、憎しみを抱いた。そこで愚かなドラゴンは漸く気付いたんだ。何故 山の麓の洞窟に武器を持って村人達が現れていたのかを。大切なものを奪われた村人達をドラゴンは気にもとめず、ただ尻尾で軽く払っていた。
ドラゴンは後悔と自らの愚かさから涙を流した。村を焼く火を涙で消して、泣き叫ぶ声で灰を払った。ドラゴンは翼を広げて飛び立った。
そして、高い高い山の上でドラゴンは待ち続けるんだ。いつか勇敢な村人が再び現れてドラゴンを討ち果たす事をな。
夢は此処でおしまいだ。」

肩から飛び降りたトニーは俺の顔を見てにっと笑う。俺もにっと笑ってトニーに話し掛けた。

「分かった!その勇敢な村人はその高い高い山の上まで登ってドラゴンに言うんだろう?
「もう悪さをしないなら赦してやる」って。それで勇敢な村人とドラゴンは仲良くなって、一緒に村を再建させながらみんな幸せに暮らすんだ!
って、トニー。それ弱点じゃない。勇敢な村人はトニーなんだから、ただの自慢話じゃないか!」

むすりと拗ねてトニーのホログラムを突っついてみせればトニーは哀しげに苦笑して「バレたか!」と笑ってみせた。結局、トニーの弱点は教えてもらえなかったけど。俺だけしか知らない話を聞けたから良しとしよう。枕に顔を埋めれば、安心したからなのか、なんだか眠くなってきた。さがってくる瞼に逆らえずに瞳を閉じれば聞き取りにくい小さな声が響いてきた。…トニー…?

「…勇敢な村人は死んだんだ。愚かなドラゴンを庇ってな…。」

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