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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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IRONMAN小説【悪戯社長と悪戯番組】

IRONMAN小説【悪戯社長と悪戯番組】

ゲイトニと言う名のゲイ→∞→トニ。
ちまっとだけジャトニ。
黒のパンツのあれはJが買い占めるのです。


『追記を読む(↓)』からどうぞ。



------------------ー




喫茶店で彼女はふるふると首を横に振り、うんざりと苦痛の表情で訴えてみせた。吐き出した溜息が手にした紅茶に波紋を波立たせる。彼女とは反対に私の唇には微笑みが浮かぶ。これはおいしい。直感、と言うよりは長年培った経験がそう告げていた。

「良ければデザートもどうぞ。此処のスフレはシンプルな甘さながらに口溶けも良く絶品です。もちろん代金は此方が受けます。お話を聞かせて下さい。もっと。」

女性は紅茶のカップをテーブルに置くとにっこりと微笑んだ。まるで無邪気な少女のように純粋に。良い話し相手。彼女はそう思いながら口をつらつらと滑らせる。

「昨日もそうなのよ。あの子ときたらTVを録画しながら見てるの。彼の映像をよ。今日はニュージャージー州に行った時のスーツだとか。このサングラスはお気に入りで、特注品だとか。カメラの角度が悪い。斜め45度をキープしろだとか。終いにはもっと可愛く映せ、このカメラマンはクズだと番組批判よ。
あの子は知らないと思っているかもしれないけれど、私は知っているの。母親ですもの。大人になるとそんな雑誌の一冊や二冊見付けても驚かないわ。もちろん、見付けたわ。あの子、隠すのが下手なの。使わない仕事道具の箱の中にね。ふふ、そのページだけよれよれで、なにをしていたかなんて明白よね。母親に隠せる筈がないわ。雑誌?見出しは…スリルショットだったかしら?黒のパンツのあれよ。貴方、あれは御存知?」

彼女は秘め事のように唇に手をあてて声をひそめる。必要のない仕草で。彼女の指に導かれるままに私が耳を寄せれば彼女は「あの写真、パンツの隙間からあれがちょっと見えてるの。」と顔を破綻させて笑顔を見せる。私は「それは大スクープだ!」と大袈裟に笑ってみせた。きっと彼のファンにとっては大スクープで間違いない。番組の放送が終わったら雑誌の価格が跳ね上がるに違いないだろう。

「私はね。息子が彼のファンなのは我慢出来るわ。大人ですもの。子供には寛容でなくっちゃ。でもね、あの子には妄想癖があるの。それが我慢出来ないの。なんとかならないかしら?
事あるごとに“あの時”の話ばかり。車に彼が居たって言うの。「彼に必要とされてるんだ!」と叫び出した時は車から落ちて頭でも打ったのかしらと心配になったわ。あの子には現実が見えてないの。あら、本当に美味しい!」

彼女はスフレをスプーンで掬い口へと運び、頬を緩ませて喜んだ。私も思わず笑顔になる。必要なのは面白いと思わせる奇抜な存在だ。私が手を振りかざせばVTRは此処で終わる。
熱気を帯びたスポットライトに照らされて私はマイクを片手に語り出した。観客席から割れんばかりの拍手が鳴り響く。

「笑顔と驚きは一つ。今宵も貴方に極上の幸せを。
今夜の主役はVTRの彼、ゲイリーさん!どうぞ!」

照れた顔で赤色のカーテンから飛び出してきたゲイリーさんはステージの中央で緊張の面持ちをみせる。リラックスさせようとにっこりと微笑み陽気に「Hi!」と声を掛けた。

「どうも…。」

手を差し出せば、汗で湿った手で握り返される。随分と緊張しているのが分かる。しきりにネクタイを構うのは普段からスーツを着慣れてない証拠だろう。

「優勝おめでとう。大陸一のトニー・スタークファンを決めるクイズ大会で君は王者になった訳だけど、心境は?どうかな?」

ゲイリーさんは照れた笑顔でカメラを意識しはじめる。

「嬉しいです。クイズは、簡単すぎました。特に最終問題。トニーの住所だけれどマリブは…」

身振り手振りをくわえ、興奮した様子で語りだそうとするゲイリーさんから慌ててマイクを離す。今日の放送はそれが目当てではない。そうこれは嘘企画。大陸一のトニー・スタークファンを決める大会はやらせ。出演者はみんな番組側が用意したエキストラ。優勝は彼で決まっていた。何の為にこんな事をしたかって?ドッキリを仕掛けるなら全力でやる。それが我がTV局の方針だ。奇抜なトニー・スタークファンの彼は良い標的。さあ、極上の笑いを。

「ゲイリーさんはトニー・スタークの大ファンですからね。さあ、あのカメラに向かって、トニー・スタークにメッセージを。」

彼の眼差しがカメラに向く。愛おしむように笑顔をみせた彼は胸に手をあてて「トニー…」と囁いた。こつこつと近付いて来る足音に私も満面の笑顔をみせる。サングラスを掛けて、極上のスーツを靡かせる。優雅で、気品に溢れ、スターのオーラを纏う本物のトニー・スタークはカメラに向かい緊張するゲイリーさんの傍に歩み寄り、その肩を突然に組むように掴んだ。

「私を呼んだか?」

ドッキリ番組は大成功!
絡み合う視線。一瞬の沈黙。の後に、ゲイリーさんの興奮の叫び声がスタジオに響き渡る。

「トニーーッ!」

「人違いだ。」

冷淡に告げ、くるりと身を翻し、ゲイリーさんから離れようとするスタークさんを私は慌てて手で引き留める。番組としては此処でスタークさんに退場されては困る。キラキラと目を輝かせて興奮から荒い息遣いを漏らすゲイリーさんに私はマイクを向けた。

「本物に初めて会えた感想は?」

「初めてじゃない…嗚呼、トニーだ!本物の!」

スタークさんは渋い顔を漏らしてゲイリーさんから視線を逸らす。彼から目を逸らしたくなる気持ちは分かる。鼻息が荒い。興奮しすぎだ。が、番組としてはこれが面白い。スタークさんは「聞いてないぞ」と言わんばかりの表情で我々スタッフを睨みつける。了承は得ているとは言え、我慢してくださいとしか言いようがない。私は笑顔でゲイリーさんに再びマイクを向けた。しかし、視線はずっと一つに向かっている。見詰めすぎだ。カメラ目線がもう少し欲しい。

「感想は?せっかくだから本物の彼に握手してもらったらどうかな?」

「最高だ!トニーはいつも最高だけど、今日は、新しいスーツだ!前のチェック柄の服も落ち着いた雰囲気で良かったけど、スーツも、最高だ!」

スタークさんは小さく肩を落とすとポケットに突っ込んでいた右手を差し出して「有難う。君もスーツが似合っているよ。何処のブランドか知らないが… とても、似合っている。」とにっこりと笑顔をみせる。微妙な笑顔だ。まるで牽制をしているかのような笑顔にゲイリーさんは満面の笑顔でスタークさんの右手を両手で包み込んだ。僅かに唇をひきつらせながらもスタークさんも両手でゲイリーさんの手を握り返す。暫しの沈黙。

「…きっと、運命だ!」

ぼそりと囁いたゲイリーさんに危機感を抱いたのかスタークさんの手がぱっと離れようとする。しかし、ゲイリーさんの手はスタークさんの手を握り締めて離さない。視線はずっとスタークさんを見据えたままだ。

「また会えると思ってたんだ!信じてたよ!嗚呼、大会でトニーのファン世界一になったんです!見て欲しい。此処にまた新しいタトゥーを入れたんだ。手作りのフィギュアを元にして…今回のは可愛くしてみた。」

彼はスタークさんの手を握り締めたままに自身のズボンをずらそうとして慌てて手で抑える。此処は健全なるTV番組だ。脱がれては困る。眉をつり上げて牽制する。

「あー…世界大会は、ない。嘘の企画だ。君はドッキリ番組に嵌まったんだよ。
出来れば、此処にいる私も嘘だと思って貰えたら嬉しいね。」

スタークさんが苦笑混じりにネタバラシを行うが彼はじっと一点を見詰めたまま動かなかった。何処を見て……気付いた私はさりげなくスタークさんに話し掛ける振りをして外れてしまっていた胸元のボタンを一つ掛けてあげる。さっさとスタークさんのスーツを手で払い、何事もなく、演出であったかのように。そして私は察知した。肌を凝視するようなゲイリーさんをこのまま放置していては危険だと。野獣の眼をしている男が、野ウサギのように無防備な大スターを狙っている。護らねば!妙に湧き出した使命感。私はドッキリを終わらせようと2人の間に割って入り、握手を強制中断させようとする。が、ゲイリーさんの手がスタークさんの手を掴んで離れない。

「ドッキリは大成功のようですね!スタークさん、有難うございました!…手を離しなさい。」

「嫌だ。」

「嫌だではなく。手を離しなさい。」

「嫌だ。」

「離しなさい!」

まるでお笑い番組のように撮影スタジオの至る所から笑い声が飛び始める。それは私の分野ではない。必死に引き離そうとするのにゲイリーさんはスタークさんを見詰めたまま満面の笑顔だ。恐ろしい…。ふぅと溜息を吐き出したスタークさんはサングラスの隙間から見上げ視線で彼を見据えた。

「手を、離してくれないか?私は忙しい。この後もスケジュールが分刻みで詰まっているんだ。滞りなくスケジュールを熟すには君の協力が必要なんだ。君が、必要だ。手を、離してくれ。」

不覚にも私もドキリとした。トニー・スタークの大きな瞳に見据えられて言われる台詞がこんなにも色艶があるとは。ゲイリーさんを見ればこくんこくんと頷きながらするりとスタークさんの手から両手を離してみせる。「では、私はこれで失礼する。」と優雅に振り返り立ち去って行ったスタークさんに彼を護れたとほっと安堵すると、私はゲイリーさんの様子を見てギョッとする。カメラマンに視線を向け、慌ててカメラを上げろと手振りで指示を出す。私の様子に首を傾げていたカメラマンがそれに気付いて、カメラワークをさり気なく僅かに上にあげてゆく。事故は免れた。放送に映ってはならないものが彼のズボンを押し上げている。原因はあれか。サングラスから覗く大きな瞳を思い返せば中々に良いモノを見たと思える。私は運が良い。上手く歩けないゲイリーさんの背中を無理矢理に押してスタジオから降ろし、私は上機嫌でドッキリ番組の進行を再開した。観客も満足感に満たされ、番組の評価は上々。嗚呼、撮影が終わったならば私も内密にあの雑誌を購入するとしよう。見出しはスリルショット。黒のパンツのあれだ。




「ジャーヴィス、何故 彼があそこにいるんだ!私はただ私のファンに話し掛けるだけでいいと聞いたから協力したと言うのに!もうドッキリ番組には協力をしないぞ!」

『ええ、その方が賢明でしょう。さあ。トニー様、手を念入りに消毒致しましょう。』
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