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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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AVENGERS小説【双眸を破る。知る。纏う。第2話】

AVENGERS小説【双眸を破る。知る。纏う。】

無自覚な愛され社長と壊れてゆく周囲。第2話。
キャプトニとジャトニ。


『追記を読む(↓)』からどうぞ。



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黄金色の秋空にひやりと冷たい風が吹いて、立ち尽くす僕の頬を撫ぜた。真下から見上げたタワーは懐かしいままで、それでも上層部に一つだけ残ったAの文字が誇らしげにきらきらと輝いている。あの内部がどのように彼の愛情で溢れているかを僕は知っている。
無意識に吐き出した息が白い。太陽が沈むと途端に肌を撫ぜてくる冷たい風。気付かないままに世界は変わってしまう。ぽつぽつと灯り出した街灯。見上げる頚を今度は地面に下ろした。あのタワーの内部へ入れない。此処数ヶ月ずっとだ。彼と連絡がとれなくなった訳ではない。ただ、タワーへの立ち入りを禁止された。
「内部の改築工事の為だ。」とトニー・スタークは僕から眼差しを逸らしながら呟いた。分かり易い嘘だ。君らしくもない。タワーへの立ち入りを禁止された僕は、反対にタワーへと籠ってしまったスタークの姿を見る事が出来ない。何があったのかを言わないスタークに、心の奥底がざわざわと騒いだ。まるで…いや、僕はスタークが無茶をしていないか心配しているだけだ。

「やあ!お出迎えご苦労、ランボー殿。」

聞きたかった声と共に手が伸びてきて視界が真っ暗になる。ずるりと鍔を引張られ落ちた帽子は僕の視界を塞いで、僕は慌てて大きく前方にずれた帽子を取り払った。ニヤニヤと悪戯の成功したような笑顔で、嗚呼、僕はびっくりしたのだから悪戯は成功で当たっているのか、腕を組みながら仁王立ちするスターク。数ヶ月前と変わらないその姿に僕の唇は自然と笑顔を取り戻していた。

「さすが戦時軍人は違うな。カフェに来ても立ったままなのか?上官に命令された?違う?なら休めよ。まずは座れ。犬みたいだぞ。」

スタークに勧められるままに椅子に座れば直ぐ様にからかわれ、僕は相変わらずだと肩を揺らした。変わらないスターク。それが嬉しい。シックなグレーのスーツに紺色のサングラスを掛けたスタークはカフェのメニューを見据えてそれを机に置いた。

「久しぶりだ。」

「嗚呼。」

「何をしていた?」

「尋問か?私は誘拐されたのか?それとも容疑者?まあいい。スティーブ・ロジャース。君に朗報だ。
本日からタワーへの立ち入りを許可しよう。」

パチンと右指を鳴らし、右手の中指と人差し指でタワーを指差したスターク。その仕種があまりに優雅で、かつ自然で、視線をタワーの上層に向けそうになる。けれど、僕の眼はさりげなく動いたスタークの左手に釘付けになった。さりげなく、まるで気付かれないように、微かに掛けたサングラスを持ち上げてテーブルの上に置いたメニューを見たスタークは何事も無かったかのように僕ににんまりと笑ってみせる。「どうだ!凄い朗報だろう?」と言わんばかりの笑顔で、けれど真意は隠していると感じられた。途端にスタークへの違和感がじわじわと湧き上がってくる。

「スターク、タワーで何をしていたんだ?」

「本当に尋問をはじめるつもりか?」

「隠すな。私達はチームだろう。情報は共有すべきだ。」

僕の言葉にスタークはふうと溜息を吐いてみせる。そうして近くのウェイトレスを呼び寄せて「紅茶を。」と頼んだ。途端に心臓を鷲掴みにされた気分になる。注文をする為に横顔をみせたスターク。そのサングラスの隙間から薄っすら見えた瞳が、虹彩が、淡い碧色に輝いて見えたからだ。彼の虹彩は、甘い茶色ではなかったか?

「スターク!サングラスを取れ!」

背中をぞくりと駆け抜けた悪寒。力任せに立ち上がり僕は声を荒げる。スタークは僕を見上げ、1度だけ瞬きをすると、ゆっくりとした仕種で紺色のサングラスを外す。優雅に、サングラスをことりとテーブルに置いてスタークは微笑んだ。

「キャプテン、君の時代にはカフェテラスではサングラスをしてはいけない決まりでも?」

冗談話をしながら微笑むスタークの色彩は両瞳とも、甘い茶色だった。僕の見間違いなのだろうか?心臓の鼓動がばくばくと荒く血液を全身に送り出してゆく。血と一緒に嫌な予感が全身を駆け巡る。否、確かに先程 見た色彩は碧だった。暫くして。注意して見なければ分からない程の違和感に気付きだす。拳を握り、わざと白いテーブルクロスを握り締めて皺をつくれば、スタークの視線が僅かに皺へと動く。嗚呼、やはり。左右の瞳の動きが僅かに違う。

「スターク、左…」

追及しようとすれば、突然にピリリと鳴り出した携帯電話。「電話だぞ。」と指差すスタークに誘われて僕はポケットにしまった携帯電話を取り出し、その通話ボタンを操作した。正直に言えば今はそれどころではないと内心苛立ちながら。

『こんばんは。Mr.ロジャース。
トニー様の左瞳はお気に召して頂けませんでしたか?色彩は完璧に再現できたと自負しておりましたが、どうやら私にはまだ進化が必要なようです。
本日はトニー様の完成披露宴にお付き合い頂き、有難うございました。』

ゾッとするような声色が耳にあてた携帯電話から届く。この声の主を知っている。彼はJ.A.R.V.I.S。スタークが信頼する彼の為の人工知能。紅茶を優雅に口へと運ぶスタークを見据えていれば、その左瞳の色彩だけがじわりと滲み、次第に輝く碧色へと変化する。にこりと僕に微笑むスタークは本物だ。右瞳も。けれど、左瞳だけが違う。アレは…まさか、J.A.R.V.I.Sなのか?

『トニー様が見据える世界を私にも見せて欲しい、と。』

残酷な言葉の刃物が、僕の心を深く抉り突き刺さった。
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