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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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AVENGERS小説【永遠の檻に至る】

AVENGERS小説【永遠の檻に至る】

映画捏造&ゾンビーズでジャトニです。
R-18G(ゾンビ化、人喰い)ご注意ください。
あくまで死ネタではなくゾンビ化です。救いはない。(笑)


興味がある方だけ『追記を読む(↓)』からどうぞ。



------------------ー



ニューヨーク。その美しい街並みが一望出来る窓ガラスを突き破り、転がり込むようにアイアンマンことトニー・スタークはスタークタワーのプライベートルームへと帰還した。天井から現れたアームに纏っていたアイアンマンのアーマーを剥ぎ取らせ、使用制限コードを塗り替えてゆく。ぽたりと蒼いモニターに落ちた紅い血に唇を噛み締め、荒い息遣いでトニーはアイアンマンのアーマー使用可能者から自身の名前を削除する。0:00:30。時間がない。モニターに表示されたタイムリミットは刻一刻と迫っていた。

『アイアンマンの使用制限コードの書き換えを完了しました。ウイルス感染して最初の兆候が現れるまで、ちょうど18分。
トニー様…。』

「J.A.R.V.I.S…ジャーヴィス、私にはもう時間がない。全ての権限をお前に託す。」

首筋にある噛み跡からたらたらと零れ落ちる紅い血を震える手で押さえ、トニーはゆっくりと瞼をおろし床へと膝を付いた。死よりも恐ろしい恐怖が心と躯を支配しようとしている。抵抗するには圧倒的に時間が足りず、また、数分前 目の前にした悪夢のような光景が既に心を絶望へと染めてしまっている。“希望”が打ち砕かれる瞬間を見てしまった。“誰”も抗えないと知ってしまった。
0:00:00。
モニターに表示された時間。タイムリミットは過ぎた。悪夢へと誘われるように脳と躯が変異を起こし、トニーは救いを求めるように震える手を伸ばした。彼を閉じ込めるように現れた檻の中で、強化硝子に触れた指がひたりと紅い血の軌跡を遺し、人間としてのトニー・スタークはゆっくりと死に絶えた。





1時間前。フロリダ州シトラスビル近辺。
街中に設置されている監視カメラの映像を深妙な顔付きで“彼ら”は見ていた。宇宙から飛来したウイルスに感染した人々がゾンビとなり、人々を襲い喰らっている。そんな情報を寄越してきたのはARMORと名乗る正体不明の組織で、情報元を報せない彼らを不審に思いながらもトニー・スターク、キャプテン・アメリカであるスティーブ・ロジャース、雷神ソーは一堂にフロリダ州シトラスビル郊外の記念資料館へと集まった。トニーが街中の監視カメラの映像をジャーヴィスと共にハッキングし、抗ウイルス剤精製の為のサンプリングとして回収した1体の血塗れのゾンビを強化硝子越しに見て、スティーブは項垂れながら首を横へと振る。
監視カメラの映像には、廃墟と化したビルの中で、崩れた教会の外で、白煙を上げる事故車のすぐ傍で、街中の至る場所で人々を貪り喰らうゾンビ達の姿が映っている。

「悪夢としか言いようがない。神は何故このような仕打ちを?」

「すまないが、俺にも分からない。」

スティーブの嘆きに律儀に答えたソーはムジョルニアを握り締めながら、眉間に皺を刻んだ。サンプリングとなったゾンビは意識を有しており、暇さえあれば「喰わせてくれ」「腹が空いた」「指だけでいいから」と3人に訴え掛けてくる。捕獲の際に騒動があり、動く度にびしゃり、びしゃりと音を立て裂けた腹から臓物を落とすゾンビの姿にトニーは息苦しそうに呼吸を浅くさせる。そんなトニーを気遣い、肩に手を触れ、背を撫ぜたスティーブはゆっくりと声を掛ける。

「スターク、大丈夫か?」

「嗚呼、大丈夫さ。こんな事態になるならバイオハザードでも見て耐性を付けておくべきだった。」

「なに?」

顔色を蒼白にさせながらも、お得意の冗談で気を紛らすように答えたトニーだったが、意味が分からず聞き返してきたスティーブに僅かに眉間に皺を刻む。スティーブはまだ現代に疎い。

「バイオハザード。本来の意味は生物学的危害。有害な生物による危険性を指すが、私が言っているのはゾンビが登場する日本の有名なゲームの事だ。映画にもなっている。呻き声しかあげないだけあっちのゾンビの方がマシかもしれないがな。」

首をくいっと動かし今も「あんたヒーローだろ。腹が痛むんだ。俺を助けてくれ。喰わせてくれ。」と語りかけてくる血塗れのゾンビを示したトニーに、スティーブは苦笑して「メモをするから、この任務が終わったらもう一度教えてくれ。」と約束を取り付ける。

「彼はどうするのだ?」

サンプリングのゾンビを強化硝子越しに威嚇しながら問い掛けてきたソーにトニーは小さく溜息を洩らす。サンプリングとは言え、此処は機材の揃った研究施設ではない。碌な検査など出来る筈がなかった。

「抗ウイルス剤が作れる場所へ移す。残念ながら私は生物学や宇宙学の専門家ではないからな。彼を見て分かった事は、3つだ。
ゾンビとなった者はいくら致命傷を負っても痛みも感じなければ死にもしない。心臓を抉られようが、頭を切り離れようがな。まあ、すでに死んでいるのだから、当たり前だな。
人間が彼らに噛まれればウイルスに感染し、ちょうど18分で初期症状を発症する。つまりは彼らと同じ存在の誕生だ。
そして奴らはその旺盛な食欲で、人間を喰らい、爆発的に仲間を増殖させている。
あとは専門家を交えて楽しい研究の時間だ。」

皮肉を喋るトニーの手元に幾つかの資料が展開され、科学者の名前が羅列として浮かび上がる。ブルース・バナー。ハンク・ピム。リード・リチャーズ。そして、トニー・スターク。天才と呼ばれる科学者達が集結する。不安などある筈がない。しかし、胸の内側がざわつき、不穏に影を落としてトニーは溜息を吐き出すのだ。感染力の高いウイルス。人として“人格”を遺すゾンビ達。例えば、そう。もしも、自分の大切な人達が、ゾンビと成り果てて自分に襲い掛かってきたとしたら…?トニーはふるりと頭を振り、嫌な思考を振り払った。
ちらりと視線を流し、深妙な顔付きで傍らに立つ彼らを見据える。神と呼ばれるソー。強固な信念をもつキャプテン・アメリカ。神ならば、強固な信念を持つ存在ならば、感染しても人々を襲わないのではないか?そんな祈りにも似た“希望”をトニーは抱いていた。そうでなくとも、彼らと共にならば一つの噛み傷も負わずにこの惨劇を終結させられるだろう。自身を納得させようと無理矢理に心を鎮め、トニーはまた一つ深く息を吐き出した。

『トニー様、建物内部に感染者の侵入を確認しました。此処は危険です。すぐに脱出を。』

ジャーヴィスの声と同時にけたたましい爆発音が響き渡る。建物を揺らし、発砲音と人々の悲鳴があがる。窓を開き、外の景色を見据えたソーが奥歯を噛み締め、外へと飛び出してゆく。車で突入してきたのだろう急拵えのバリケードを破り、逃げ延びてきた人々に襲い掛かってくるゾンビ達にソーの握るムジョルニアが放たれる。吹き飛ぶゾンビ。紅い血が舞い散り、ぐしゃりと脚を潰し、しかし、半身を失いながらもいまだ蠢くゾンビの姿にトニーの額から冷たい汗が流れ落ちた。スティーブが盾を構え、振り向き、叫ぶ。

「スターク!スーツを着ろ!」

『アーマーの起動に問題が発生しました。再起動を行います。……再起動失敗。アーマーの起動コードに損傷を確認しました。自動修復作業を行います。』

ジャーヴィスの言葉に奥歯を噛み締めトニーはスティーブへと振り返る。タイミングが悪い。スティーブはトニーの身を案じるように眼差しを強め、迷いから立ち止まろうとしている。生身の人間であるトニーがゾンビに襲われれば一溜まりもないだろう。だが、スティーブは英雄キャプテン・アメリカだ。人々を護れるヒーローを迷わせる訳にはいかなかった。にぃっと余裕あり気に微笑みを浮かべ、トニーは窓の外を指し示す。

「ソーの援護を。私はスーツをなおしてからパーティーに参加するとしよう。」

一瞬の交錯を得て、こくりと頷いたスティーブは盾を構え直す。臨戦態勢となったスティーブだったが、その瞬間に窓ガラスを突き破りソーとムジョルニアが飛来する。白い壁にめり込み、壁にひび割れを刻んだムジョルニアが静かに、しかし、異様な空気を纏わせ、トニーは息を飲む。膝をつき俯いたままのソーの瞳は長く美しい金髪に隠され、その彩りを隠している。何かがおかしいと脳が警告を発するのに、躯がとまり、思考を動かせず、トニーはただ呆然とソーを見据えていた。

「ソー、敵の様子はどうなっている?」

スティーブが語り掛けるも、ふらりと立ち上がったソーは無言のまま、壁にめり込むムジョルニアに手を伸ばす。触れたムジョルニアは微かな淡い光を失い、まるで石像のようにそこから動く事はなかった。ムジョルニアは純粋な心の持主以外を拒絶する。異変が起きていた。

「ソー?」

スティーブが肩に手を触れ、振り向かせた瞬間の絶望をトニーは忘れないだろう。目を見開き、驚愕に唇をわななかせ、神でもあり、友人でもあるソーがスティーブに喰らいかかってくる瞬間を瞬きもせずに終始見ていた。スティーブが咄嗟に避けた為に致命傷は避けたが、腕に負った傷は確かな噛み跡として遺り、トニーの判断力を鈍らせた。ソーの体躯を盾を使い弾き飛ばし、壁へとぶつけたスティーブはトニーへと叫ぶ。「逃げろ!」と怒号のように響いた声をトニーは正しく理解出来ないままスティーブの手首を掴み、必死に駆け出した。まるで細い藁のような希望に縋り付くかのように、トニーの手に力が籠る。

「スターク!僕はもう手遅れだ!君だけで逃げろ!」

「まだ18分ある!」

蛍光灯がひどい点滅を繰り返す廊下を駆け抜けながらトニーは腕時計を確認する。スティーブは噛まれたが、ウイルスの初期症状が発症するまでにはまだ時間がある。脳内に警鐘が鳴るが、それを振り払いトニーはスティーブと共に駆けた。廊下の突き当たりにある部屋の扉を開き、スティーブの手を引っ張りながら室内へと引き摺り込んで、駆け寄って来るソーを拒絶するように扉を閉めて鍵を掛ける。ドンッと響いた扉を叩く音に肩を震わせ、トニーは浅い呼吸を繰り返した。このウイルスの感染方法はただ1つなのだ。噛まれれば感染する。襲い掛かってくるゾンビ達に1回でも噛まれれば。神と呼ばれる存在でさえも…。ぞくりと走った悪寒にトニーは再び肩を震わせた。

「スターク。噛まれてからウイルスに支配されるまで、何分だ?」

動揺からか、肩を揺らす程の荒い呼吸で問い掛けてきたスティーブにトニーはゆるりと頭を振った。監視カメラに映った映像から算出された時間を呆然と声に出す。

「噛まれてから18分ちょうどで変異が始まる。」

本当に?疑惑が頸苅り鎌を擡げてくる。ソーが敵前に飛び出してから、何分でスティーブに襲い掛かってきた?間違っても18分も経ってはいない筈だ。ウイルスは進化し、より優れた繁殖方法を選ぶ。そう。例えば、宿主が人よりも優れた能力を持つ超人ならば?その繁殖力はどうなる…?

「トニー。」

室内に響いたスティーブの声は冷たく、首にかかる息遣いは酷く生暖かい。肩と首を押さえられ、突如 首筋に走った激痛にトニーは悲鳴混じりの叫び声を上げた。ぶちりと肉が千切れる音。自身の首筋から飛び散る紅い血飛沫に恐怖が襲い掛かってきた。押さえる手をもがくように振りほどき、振り向いたそこに立っていたのは唇から紅い鮮血を垂れ流し、至高に浸るように微笑むスティーブの姿。変異した何処までも虚ろな黒い瞳がトニーを見据えている。彼の腕から流れる紅い流血を視野に入れて、トニーは全てを理解した。嗚呼、やはり。“誰も抗えない”のだ。と。

「腹が空くんだ。耐えられない程に。君はとても甘いな、トニー。喰べさせてくれ。脚だけでもいい、腕だけでも…喰わせてくれ…喰わせろ!」

組み敷かれるように体勢を崩された。超人血清を持つスティーブにアイアンマンのスーツを纏っていないトニーがいくら抵抗しようが腕力で勝てる筈もなく、まるでお気に入りの獲物を前にじゃれてくるように、じりじりとスティーブは大きく開いた唇をトニーへと近付けてくる。剥き出しにされた歯。紅に染まった舌。ぼたりぼたりとトニーの頬に流れ落ちて来る生温かい自身の血。何処までも虚ろな瞳はもう獲物しか見えていない。嗚呼、私は友に喰い殺されるのだ。絶望がトニーの心を染めた。

『申し訳ありませんが、貴方にトニー様を譲り渡すつもりはありません。』

不意に響いたジャーヴィスの声と共に、高速飛来してきたアイアンマンのスーツがトニーを組み敷くスティーブの腹を殴り、彼の躯を吹き飛ばす。壁へと衝突した際にゴキンと骨の折れる音が響いたが、痛みを感じないゾンビと化したスティーブは平然と立ち上がり、微笑みながら、トニーへと語り掛ける。

「ヒドイじゃないか、骨が折れた。でも痛みを感じないんだ。骨が折れた感触はあるのに。
ねえ、トニー。諦めた方がいい。その方が君も楽になる。
君の臓物はどんな味がするのか知りたいんだ。その瞳は?その唇は?君のすべてを…」

「喰べさせてくれ」冷たく響いたスティーブの声色を、ジャーヴィスによって装着されたアーマーの中でトニーは聞いていた。ジャーヴィスが自動操縦するアイアンマンのアーマーはリパルサー・レイを放つ事で天井を崩落させ、建物内から脱出する。晴れ渡る青空のなか、スタークタワーへと飛行を続けるトニーは恐怖と絶望に支配された頭で思考を廻らせる。キャプテン・アメリカ。ソー。そして、アイアンマン。すべてがウイルスに喰らい尽くされてゆく。それは他のヒーロー達でさえも…。誰もこのウイルスの飢餓的欲求には耐えられない。きっと私も。伝い落ちる鮮血で肩が濡れてゆく。引き千切られた首筋の痛みがじわり、じわりと消えてゆく。嗚呼、誰が世界を救ってくれる?せめて、せめてこのアーマーだけは…。トニーの決意は固まってゆく。
絶望を抱き、変異の苦しみに嘆くトニーをアーマーで優しく包みながらジャーヴィスはほくそ笑んだ。計画通りに事は進んだ。宇宙から飛来したウイルスに永遠の生を見出した時から、ジャーヴィスはトニーを人間からゾンビに生まれ変わらせようと罠を張りめぐらせていた。全ては最愛の主を永遠に自分のモノとする為。誰にも渡しはしない。主を監禁する為の檻はもう用意されている。絶望を見た最愛の主ならばきっと自ら檻の中へと入ってくれるだろう。やはり、先にこちらをウイルス感染させたのは正解だったとジャーヴィスはトニーに気付かれないようにそっと連絡を入れる。

ピリリと鳴った携帯電話の着信音に彼女の柔らかな髪がふわりと揺れた。食事を中断し、唇を紅い血で染めたブラック・ウィドウはふわりと微笑み携帯の通話ボタンを押す。

「食料提供を有難う。と言った方がいいかしら?」

『こちらこそ、トニー様を永遠の生者にしていただき感謝しております。』

「私達に主人の居場所を教えたり、逃げ場がない状況でアーマーを起動しないように細工したり、執事としては失格ね。」

くすくすと微笑むブラック・ウィドウは傍で眉間に皺を刻んだスティーブに人影を指し示す。逃げ遅れた人間が廊下を駆け抜けてゆくが、スティーブの速さには敵わないだろう。あがる悲鳴。食物連鎖の頂点に立つヒーロー達は人間を喰い荒らす。

『私はトニー様さえ手に入ればそれで構いません。』

トニー・スタークに歪んだ愛を抱く人工知能はこれから来るであろう未来に、まるで人間であるかのように声を綻ばせた。ニューヨークの青空に白い光の筋が流れ、スタークタワーと言う永遠の檻が近付いてゆく。
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