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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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AVENGERS小説【ヒーロー達の青臭い青春】

AVENGERS小説【ヒーロー達の青臭い青春】

博士視点ではじまる博士→社長←キャプテン。
キャプテンを避ける社長のお話ベース。
青臭い青春そのまま。どうしてこうなったのかは作者にも不明です。(笑)


『追記を読む(↓)』からどうぞ。




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人には見たくない現実というものもある。例えば、自分の思い通りに物事が進まなかったり。嫌な感情から逃げ出したくなったり。
偶然にも、僕は“そこ”に居合わせてしまった。


S.H.I.E.L.D.に呼び出されてヘリキャリアへと僕は来ていた。一緒に呼び出されたのは世界的な大富豪にしてヒーロー、アイアンマンことトニー・スターク。僕の想い人だ。
気分が浮かれるのも仕方がなかった。それを悟られないよう平静を装いながらトニーと僕らにしか分からない会話を繰り広げる。時には冗談を言ったり、真剣に話したり…誰にも伝わらないだろう2人だけの会話。
何かと隠し事の多いS.H.I.E.L.D.は気に入らないが、トニーと一緒ならば此処がそのS.H.I.E.L.D.の監視下であっても僕は幸せだった。

巨大な金属の塊の廊下を抜けて研究室の扉をトニーが開く。
S.H.I.E.L.D.に所属しているキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースが過去に縛られないようにする為にと、トニーはスティーブとの接触を極端に避けていたから、トニーが此処へ来るのは本当に久しぶりだった。僕も同じだ。
開いた扉。久しぶりの空を抱える白い研究室。
そこで見た光景に僕は一瞬で焦りを覚えた。

無機質な鉄色のテーブルの上には彩り豊かな花達が散りばめられ、中央に置かれた白い封筒を際立たせていた。
丁寧で、けれど力強い字で書かれていた宛名は“トニーへ”。誰からの手紙かなんて分かりきっていた。嫌な予感にじわりと手に汗が滲む。

こつこつと足音を鳴らしテーブルへと歩み寄ったトニーは手紙の宛名を見て、眉間に皺を寄せて小さく苦笑してみせた。

「自筆の手紙なんて古風だな。キャプテンはメールの打ち方も分からないらしい。」

儚く微笑んだ君の唇に白い封筒が触れそうになる。咄嗟に封筒を奪おうとしてトニーの手首を無理に掴んだけれど、拍子にバランスを崩してしまいトニーと一緒に硬い床へと倒れ込んだ。
押し倒したように覆いかぶさり見下ろしたトニーの眼差しは驚きを孕んでいるようで、それでも慈愛に満ちて僕に向けられた。

「読まない方がいい。」

「トニーへと書かれている。私宛だ。」

「きっとまた彼は君を傷付ける。」

「バナー。私は傷付いてなんかいない。キャプテンにとってこれが最善だと思ったから行動しただけだ。
そして結果が返ってきた。過去は戻らない。キャプテンは漸く未来を見据えた。そうだろう?」

「違う!」と叫びそうになり、下唇を噛み締めて掴んだ手首をぎりぎりと握りしめた。
僕はスティーブに未来なんて見据えて欲しくなどない。だってそこには君がいるんだ。スティーブが見据えている未来にはきっとトニーがいる。

「トニー…君が…好きだ。僕は君を大切に想っている。
だからこそ言わせて欲しい。スティーブは君を」

「もう2度と傷付けない!約束する!」

突然の大声に驚いて声の主へと視線を向ければ、息も絶え絶えの慌てた様子で扉の前に立っているスティーブの姿があった。トニーの来訪を知り慌てて来たのかもしれない。
もしかしたら、この呼出しすらもスティーブと同じS.H.I.E.L.D.の仲間であるナターシャの差し金だったのかもしれないと邪推していれば、僕らの傍に駆け寄って来たスティーブが僕の肩を力強く押してトニーから引き離された。

「博士、すまない。有難う。」

まるで立役者みたいに僕に御礼を言うスティーブが気に喰わなかった。それでも心拍数は危険値までは達しない。怒りを抑えるのには慣れていたから。ぐらぐらと煮えたぎる黒い熱源を身の内だけで転がしてゆく。

「トニー、君を…傷付けてしまったのは申し訳なかった。
君と一緒にいる時間は本当に楽しかった。でも僕は君をハワードと同じ存在だなんて思っていない。君と会えないのはつらいんだ。胸が苦しくなる。
何と言えば伝わるのか、分からないけど…
僕は、君が好きだよ。」

トニーの両肩を掴んで、頬を真っ赤に染めたスティーブが告白をしてしまう瞬間を僕は呆然と見ていた。
目をぱちくりと瞬くトニーは何を言われたか理解してないらしく、まるで少女のように愛らしくこてりと首を傾げた。
一瞬の間の後に告白してしまった事に気が付いたスティーブは耳まで真っ赤に染め上げて慌てて立ち上がる。

「と、とにかく!僕はこれからもトニーと会いたい!僕を避けないでくれ!」

「嗚呼…。」

事態が上手く飲み込めないトニーがつたない返事をすれば、スティーブは心底嬉しそうに微笑んで研究室から駆け出して行った。
ぐらぐらと臓が真っ黒に燃え盛る。スティーブは本気でトニーを愛していると僕は気付いていた。だから告白なんてさせないつもりだったのに…。

「博士…もしかして、私は告白されたのか?」

あどけない表情で問い掛けてくるトニーに僕は眼鏡を外して、目頭を押さえながら、心底から溜め息を吐き出した。
認めざるをえない。トニーを廻る恋のライバルが1人増えたと。

「そうか…。
まさか2人から告白されるとは思ってもいなかった。」

僕の沈黙を肯定と受け取り、恥じらうように頬の熱を手で抑え微笑んだトニーに「えっ?」と僕は素っ頓狂な声をあげていた。

「博士は、違うのか?」

トニーに言われて漸く気付く。僕も「好きだ」と告白してしまった事を。自覚すれば頬に熱が高ぶり、しどろもどろになってしまう。
ごまかすべきなのか、本気だと伝えるべきか、迷いながら声を出せば答えはすとんと口から零れ落ちていた。

「あー…君が好きだ。迷惑でなければ。」

花が綻ぶようにふわりと微笑んだトニーの表情は幸福で包まれているようだった。少なくとも、僕にはそう思えた。
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