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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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IRONMAN小説【傾いた天秤、水面に沈む】

IRONMAN小説【傾いた天秤、水面に沈む】

擬体ジャーヴィスと社長のジャトニVSゴーストライダー。
第2話的なお話。
どちらも映画設定からの捏造です。

『追記を読む』からどうぞ。




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世界樹[ユグドラシル]で繋がる9つの世界。
その世界の内の1つ。ニフルヘイム。
死者たちの住処。冥界と呼ばれる場所。

『世界は繋がっています。
冥界からの使者が貴方を奪うというのならば、私は冥界まででも追い掛け、使者の腕から貴方を奪い返しましょう。』

人工知能は最愛の主人から与えられた義体に、魂ともよべる意識を移し、銃のトリガーを弾いた。




臓を震わすような爆音がニューヨークの街中に響いた。駆け抜けたバイクの炎の車輪が、まるで死者への道標のように紅い道を造りあげ、高いスターク・タワーの壁を駆け上がってゆく。
同じタイミングでタワーの最上階から飛び出して来たアイアンマンは勢いを殺さぬままに、バイクに乗るゴーストライダーに向けリパルサー・レイを放った。
車輪に破壊された窓硝子がバラバラと空中に舞い、紅と蒼の輝きをきらきらと反射して落ちてゆく。
タワー内部から射撃されたガトリング弾を巧みなハンドル捌きで避け、空中に飛び出したゴーストライダーの手が自身の体に巻き付けた鎖を掴み、投げ、アイアンマンの首を搦め捕ろうとする。
鎖に縛られる寸前の所でばらりとパーツごとに分離し、攻撃を避けたアイアンマンは右腕のパーツの飛行速度を伸ばしゴーストライダーの顎を殴り飛ばした。
ごつりと鈍く鳴った衝撃音。ダメージになっているのかすら分からないまま、続いて飛んできた左足がゴーストライダーの体を吹き飛ばそうと鳩尾を狙い突撃をするが、空中でバイクのハンドルを操り体勢を立て直したゴーストライダーの腕が再び鎖を掴み、アイアンマンの右足のパーツを弾いた。
喰らい付くようにくるりと空中を舞った右足がゴーストライダーを追えば、ゴーストライダーは鎖で搦め捕ったアイアンマンの胴体をスタークタワーの外壁に叩きつけ、それを主軸にしてバイクを着地させ再びスタークタワーを駆け上がってゆく。
タワー内部からの射撃とアイアンマンのパーツに追われながら、炎の車輪がスタークタワーに紅い炎の道を造りあげていった。

「ジョニー・ブレイズ。さすがバイクスタントのプロだっただけはあるな。」

がちりと奥歯を鳴らし、遠隔操作でアイアンマンを操るトニー・スタークは頬に伝う冷汗を拭いながら、傍らにいるビジネススーツの男性を流し見た。
運悪く本日のスタークタワーは来客中だ。歳老いた男性は慌てる素振りもなく、優雅にソファーに座り紅茶を飲みながら、まるでデモンストレーションでもあるかのようににこにことトニーに微笑んでいた。
アイアンマンが勝利する場面でも見たいのか、ソファーから一行に動こうとしない男性に、トニーが危険だから下がらせようとすれば傍らから伸びた腕がトニーの肩を押す。

『トニー様、もっと奥へ。窓から来ます。』

トニーを護るように義体を動かしたジャーヴィスはガトリングガンを構えなおし、月が浮かぶ窓へと銃口を向けた。
月が陰り、窓硝子を破壊して飛んで来た黒い物体にジャーヴィスの指が動く。
ばらばらばらばらと薬莢が室内に転がってゆく。
窓から放たれ、ぐしゃりと壁に叩きつけられた無惨にもひしゃげたアイアンマンのマスクにトニーは小さく落胆の息を吐き出した。
連日連夜、ゴーストライダーの襲撃に遭い、対抗作として用意していたアイアンマンのスーツもこれが最後の1体だった。いくらトニーが類い稀なる天才と言えども、度重なる襲撃にスーツを大量生産する時間がなかった。
(武器を大量生産してきた男が、いざ自分を護る武器を用意するとなると出来ないとは情けない…。)
自嘲したトニーは遠隔操作用の装置を外し、まるで天国からの迎えのように窓辺に佇むゴーストライダーを見据えた。
黒いライダースーツに炎に包まれた骸の頭。

「毎夜毎夜、こうも会い続けると恐怖もなくなるな。
悪いがお誘いは今夜で終わりになりそうだ。」

ひらと笑い、諦めでも見付けたようにぽつりと告げたトニーの体が突如強く抱きしめられた。まるで離れる事を嫌がり縋り付くように、強く、強く、抱きしめられたジャーヴィスの腕にトニーの唇が微笑む。

「どうした?ジャーヴィス。」

『トニー様、私と逃げましょう。』

「何処へ?」

『陽が照らし続ける場所へ。ゴーストライダーは夜にしか現れません。陽が存在し続ければ…』

「私から夜を奪うつもりか?まるで闇の使者だな。」

『私がトニー様を護ります。私だけでは不十分ですか?』

「私に似て我が儘になったな、ジャーヴィス。
心配はいらない。」

じゃらりと鳴った鎖の音にジャーヴィスは振り向き、ゴーストライダーに銃口を向けた。最愛の主人を護る為ならば、例え身を滅ぼしても構わないと銃のトリガーをひこうとする。トニーの囁いた言葉が、理解不能な言葉としてジャーヴィスの意識に流れた。

「お前との契約はしない。
ひ弱な人間であろうとも、私はアイアンマンだ。」

かちゃりと音をたてて置かれた紅茶のカップに、初めてジャーヴィスはそこに人がいると気が付いた。ソファーで寛ぐビジネススーツを着た白髪の老人。アークリアクターによる自家発電の筈の室内の灯がジジジとノイズのように点滅を繰り返す。

「残念だよ。
契約を交わした後の君になら、ゴーストライダーを殺せると思っていたのだが。契約前に断られるとは私も堕ちたものだ。」

ひやりと背筋を撫でるような冷たい空気が室内に漂う。人外と呼ばれる者達独特の、臭いに似た悪寒。彼がニフルヘイムからの使者だと咄嗟に気付いたジャーヴィスは男性に向かい銃のトリガーを弾く。着弾寸前でまるで霞のように消えた男性にジャーヴィスは内心の動揺を隠せなかった。
知らぬ間に、気付かぬ間に、トニーが冥界からの使者に手をひかれていたのだと気付けば、全身が凍結してしまったかのように機能を失いそうになる。

ざらりと足音を踏み鳴らし、近寄って来たゴーストライダーの腕がトニーの胸倉を掴み、ジャーヴィスは慌てその銃口をゴーストライダーの顳みにあてた。トニー・スタークとゴースト・ライダー。お互いに動揺はない。

「TV映像で私に近付く彼の姿を見付けたか?
君にわざと私を襲撃させ、君の襲撃をダシに私に契約を持ち掛けてきた。
私には死を免れる為の力を、その見返りに君へ死を。
随分と冥界の王に嫌われたな?」

苦笑混じりに語るトニーは胸倉を掴むゴーストライダーの腕を払い、着崩れをなおし、首筋を撫でた。いまだ癒えていない首筋の荊を見据えてゴーストライダーは窓際へと踵を返す。

「君も、アベンジャーズに参加しないか?
冥界のヒーローも、まあ、悪くない。」

冗談なのか真剣なのか判別のつかない口調で告げたトニーの言葉に、少しだけ振り向いたゴーストライダーの焔がゆらりと揺れ動く。次第に響いたバイクのエンジン音。そして遠ざかってゆく漆黒の骸に、ジャーヴィスはただ黙したまま最愛の主であるトニーの体を抱き寄せていた。

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