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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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IRONMAN小説【冥よりの使者来たれり、傾くは天秤】

IRONMAN小説【冥よりの使者来たれり、傾くは天秤】

罪に苛まれる社長と、社長を護りたい義体化ジャーヴィス。ジャトニです。
社長を標的にしているゴーストライダーVSジャーヴィス。
映画設定で捏造ちっく。


『続きを読む(↓)』からどうぞ。




-----------------




轟々と紅い炎が燃え上がる。
地獄の炎に皮膚は焼き落とされ、白い骸骨の頭部だけが炎に包まれ服の上に遺っていた。
漆黒のライダースーツに身を包み、じゃらりと重い鎖を引きずる音がアスファルトに鳴り響く。
微笑みもなく、悲痛もない。ただ“彼”は骸の顔で“標的”を見据えていた。

“彼”は冥府からの死者…ゴーストライダー。
彼が裁くのは“罪を持つ者”。


「がぁっ!」

ゴーストライダーの漆黒の右手に首を絞められトニー・スタークは必死に自身の首を指で掻いた。酸素が通わない息苦しさにゴーストライダーの指ごと自身の首を傷付ける。
力強く引っ掻いても離れない指に(死者らしく痛みを持たないのか)と考えたトニーの指先はびくびくと痙攣を起こし震え、もがいた指先から赤い血がたらりと流れ落ちた。
押し付けられた建物の壁からざらりと引きずるような音が響いたが、意識を失う寸前のトニーの耳にはそれが聞き取れなかった。

『参りましょう。』

静かな夜に響いた声とカチンッと鳴った引き金。続いて建物の屋上から舞い降りてきた漆黒服の執事が両手に構えたマシンガンMP5をゴーストライダーに向け撃ち抜いてゆく。
ガガガガガガガガッと頭上からゴーストライダーの頭部と腕を狙うが身を退かれ、発砲したまま地面へと華麗に着地した義体の人工知能J.A.R.V.I.S.は背後の壁から地面へと倒れ込もうとするトニーの体を銃を捨てた片腕で支え、自らの胸元へと抱き寄せる。
その間にもマシンガンMP5のトリガーは握ったまま、ゴーストライダーを睨み据えてひかれる銃口はジャーヴィスの怒りを爆発させるようにゴーストライダーが退くまで発砲音を響き渡らせ続けた。

ニューヨークの夜闇にゴーストライダーの退いた2筋の車輪の炎がてらてらと輝く。
うっすらと瞼を開いたトニーは抱き上げられたジャーヴィスの腕の中でそれを見据え、小さく息を漏らす。
「私の…」(犯した罪。裁きが追い付いてきた。)
続く言葉はジャーヴィスがトニーの体を強く抱き込み執事服に吸い込まれ響く事はなかった。




ぽたり、ぽたりと水滴がバスルームの床に跳ねる。
埃と血を洗い流し、濡れた髪のまま鏡を見据えてトニー・スタークは自身の首をゆるりと撫でた。
どす黒く主張する指の圧迫の痕。それに反するように縦に伸びた引っ掻き傷が白い首に妙なコントラストを描いている。
首に巻き付けられた荊のようでもあり、十字架のようでもある。

「どちらでも同じだ。」

忌ま忌ましいように鏡にうつる自分自身に吐き捨てトニーはバスルームから出て行く。

扉を開き、片手に赤ワインを持ちながらリビングルームへと入れば、救急箱をアームに引っ掛けたダミーがキュルキュルと音を鳴らしトニーへと近寄って来る。

「必要ない。」

指で示し、強い語気で行動を止めればダミーは落ち込むようにキュウウとアームを下げてみせる。
心配するように後を追ってくるユーさえも振り切るようにトニーはぺたぺたと裸足で足速にリビングルームを歩いた。
「まったく…。」と溜息を吐き出し、黒いソファーに身を預け、赤ワインをグラスに注ぎテーブルに置けば、背後から伸びてきた漆黒服の手にトニーの肩が必要以上にびくんっと揺れ動いた。

『ロマネ・コンティ。1985年もの。幻の赤ワインですね。』

「ジャーヴィス、驚かすな。」

荒く肩で息をするトニーの顔色はひどく青褪め確かな恐れを纏っている。
それを認識しながらもジャーヴィスは漆黒色の執事服を脱がず、手にした赤ワインをテーブルへと戻しトニーの髪へと優しく触れた。

『濡れた髪のままでは風邪をひきます。』

さわさわと撫でるように白いタオルで濡れたトニーの髪を乾かしてゆく。
大人しくされるがままのトニーはグラスの中で揺れる赤ワインを見詰め溜息を吐き出した。

『ゴーストライダー。
ニューヨークを中心に現れ、各地で人とは異なる存在と戦っている者。
日暮れと共に現れ、朝陽と共に姿を消す。
人間とは程遠い骸の顔。自在にバイクを操り、捕えた者を見据え、闇に送る力は名の通り冥界からの使者を彷彿とさせる。
彼の標的は“罪を犯した者”に限られる。』

ジャーヴィスの言葉にトニーは堪らず拳を握り締め立ち上がった。拍子にぶつかった足がテーブルを揺らし、グラスが倒れ甲高い音と共に割れて赤い液体をてらてらとテーブルの上に広がらせてゆく。
海に広がる血のように、その臭いに誘われ鮫が集まる。異常な錯覚がトニーの頭を過ぎった。

(お前の負けだ。)

過去に倒したイワン・ヴァンコフが告げた言葉。
幾度もの戦いでトニーは血を流した。その映像がTVやネットで血のように広がり流れれば、それを嗅ぎ付けた敵は鮫のように集まってくる。
名声目当て。逆恨み。嫉妬。行き場のない悲しみ、憤怒。そして、今度はトニーの過去の罪が正義の存在とも言えるゴーストライダーを呼び寄せたのだろう。

「人を殺戮する兵器を造り続けた罰か…。」

『トニー様は人を救おうとなさいました。
そしてアイアンマンとして今も人々の為に戦っております。
彼がトニー様を狙う理由が私には理解出来ません。』

手を伸ばしたジャーヴィスは黒い服をトニーの頭に些か乱暴に突っ込み、視界が塞がれ慌てたトニーの腕を掴み無理矢理に服を着せてゆく。治療もさせず見るからに痛々しく傷付いた首を隠せるようにハイネックを着せたジャーヴィスは文句を言いながら暴れるトニーの腕を搦め捕り背後から強く抱きしめた。

『トニー様、罪を持たない人間がこの世界にどれほど存在するかご存知ですか?
過去の過ちを、信じた道を罪と背負い込むのはおやめください。
彼の存在がトニー様を罪人だと言うのならば、私がトニー様を護りぬき、貴方の正義を証明してみせましょう。』

トニーの網膜が潤み、右手がゆらりと痛む頭を撫でた。荒れた心を宥めるようにアームを擦り寄せるダミーとユー。ぎゅっと強まったジャーヴィスの腕。
3体の機体から与えられる優しさを振り払い、トニーは黙したままリビングルームを出て行った。



静かに留まる空間。
ゴーストライダーに捕まれば待っているのは己が犯した罪による“死”。
(そんな事は許されない。)
無意識に義体の拳を握り締めたジャーヴィスの唇が呆れたように動き出す。

『何か御用でしょうか?』

窓に繋かるカーテンからゆらりと現れた朱い髪にジャーヴィスは振り向かないままも内心の苛立ちを覚えた。
コツコツとハイヒールを鳴らしテーブルの上に書類らしき紙の束を放り投げたナターシャ・ロマノフは不機嫌そうに言葉を告げる。

「S.H.I.E.L.D.はトニー・スタークの護衛を一切しない。
アベンジャーズメンバーへの接触も出来ないように連絡は遮断させてもらったから。
自分の問題は自分で解決なさいと伝えておいて。
S.H.I.E.L.D.が持つゴーストライダーの情報はこれが全てよ。
情報は渡したのだからハッキングをやめてくれるかしら?」

胸元で腕を組み、苛立ちを隠した表情で問い掛けるナターシャにジャーヴィスは到底彼らしくない低い声を放つ。

『仲間の命とトニー様を天秤にかけ、トニー様を見捨てるのですか?』

「貴方がさっき言った通りよ。
罪を持たない人間がどれほど存在するか知ってる?
例え悪人であろうと命を奪う事が罪なら、私達にあるのは崩壊のみ。当然の決断だわ。」

吹き込んでくる風にふわりと髪を揺らしたナターシャは立ち去ろうとコツコツと靴音を鳴らしてゆく。
そんな彼女にジャーヴィスの腕が動き執事服の下に潜ませていた銃を構えた。

『それがトニー様の命令でなければ私は貴女を撃っていたでしょう。』

纖かな肉体を揺らし影になろうとするナターシャの肩が小さく揺らいだ。スパイらしくもなく表情を面に映し、悲しげに眉間を寄せたナターシャの唇が固く鈍く動く。

「自虐癖のある御主人様を持つと苦労するわね。」

硝子窓に反射して映る悲痛な美貌。それを掻き消すようにジャーヴィスは銃のトリガーを弾き、発砲音と共に硝子を粉々に打ち砕いた。

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