FC2ブログ

零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

AVENGERS小説【星が瞬く夜[4]《後編》】

AVENGERS小説【星が瞬く夜[4]《後編》】

記憶喪失のお話。
書いてしまった第4話。完結編。
神様以外、全員集合。
この物語にはオリジナルキャラが出て来てますので苦手な方はご注意下さい!


『追記を読む(↓)』からどうぞ。



----------------






ぞくりと背筋に走った悪寒。
“僕”は“誰”だ?
“彼”は“誰”だ?
“どっち”が本物の“トニー・スターク”なんだ?

パンッと鳴った銃声に瓜二つの顔を映していた窓硝子が粉々に砕け割れる。
振り向けば立てなくなったのだろう右膝を床についた敵の1人が銃口を僕に向けにたりと笑った。

「嗚呼、あんたには見事に騙されたよ。
“トニー・スターク”の“影武者”だろう?
あんたを追って危うく本物を逃がす所だった。
あんたには感謝の言葉を言わなきゃな!
本物の元へ俺達を連れて来てくれたんだ!
本物は、心臓手術直後でろくにこの屋敷から動けない、そいつだ!!!」

敵の銃口が僕に支えられた主人の背中に向く。

彼を庇わなければならない!

腕を翻して“トニー・スターク”を抱え僕の体を盾に護れば、崩れ落ちていたキッチンの壁の隙間から飛んで来た白い皿が敵の頭部に直撃してガシャンと派手な破壊音を響かせる。
続いて飛んで来た白いコップやフォーク、ナイフに怯んだ敵の頭をロマノフが軽く捻り倒し、事態はやっと終息を迎えた。

キッチンの隙間からキュウキュウと鳴く黒い2体の機体は僕の腕に抱えたトニー・スタークの無事を確認して僕に林檎を投げ付けてきた。

「たいした息子さんだ。」

全身の力が抜け、ずるりと床に崩れ落ちた僕が言葉を吐き出せばトニー・スタークは可笑しいのか小さく体を揺らして僕の腕の中で笑っていた。

大きく吐き出した息。
それと同時にすとんっと頭の中に僕…嗚呼、こんな自称はらしくない、私の記憶が戻ってくる。
ははっと笑い声を漏らせば、コツコツと妖艶な足音を響かせ近付いて来た同僚に声を掛けた。

「任務に失敗したよ、ブラック・ウィドウ。」

「記憶が戻ったの?アンソニー?」

朱い髪を揺らし私に問い掛けてくるロマノフはいかにも楽しそうな笑顔を浮かべる。

「ひどいな。記憶喪失の私を騙すなんて。
それも私を囮に正面突破だって?」

私は笑いながら右手に銃を抜き出して、ゆっくりと銃口をそこへと向けた。
銀色の銃が炎ではなく室内灯にキラリと輝く。

「騙してないわ。
貴方の名前は“アンソニー”だと教えたじゃない。
そして“トニー・スターク”を覚えてないか問い掛けただけ。
もし私が記憶喪失で同じ任務に付いていたなら貴方はどうしてた?」

私は迷う事なく銃のトリガーを引いて室内に発砲音を響かせた。

「うあっ!」

床に倒れたフリをして手榴弾の安全ピンを引き抜こうとしていた敵の手を銃で撃ち抜いて、私はロマノフの瞳を見た。

「君を囮にして正面突破させる。
仲間に嘘を吐かせてでもターゲットを護るのが私の任務だからな。」

「あら、私達は“嘘”はついてないわよ?
私達の会話から“勘違い”をしたのは貴方だもの。」

くすりと妖艶に微笑むロマノフに私はやれやれと肩を落とした。
騙し討ちは彼女の得意分野だ。




屋敷内の敵を一掃して、私は駆け付けてきたS.H.I.E.L.D.のメンバーに後処理を託した。
発熱と咳のせいで声をからからに掠れさせたトニー・スタークは、上空のクインジェットで待機していたブルース・バナー博士に治療をしてもらうようだ。
私の任務失敗を知り、眉間に深い皺を刻みスターク邸を見据えていたバナー博士に、クインジェットの操縦士はハルクになるのではとびくびくしていたようだが、ハルクの出番がなかった事に彼も安堵した事だろう。
しかし、発熱で意識朦朧とするスタークの瓦礫で切れた顳みの傷に笑顔で消毒液をかけ流したバナー博士は無茶をするスタークに少なからず怒っていたのかもしれない。

アイアンマンのアーマーを操りスタークと共に屋敷内を駆け抜けていた人工知能のJ.A.R.V.I.S.は、主の命令通りキッチン扉の瓦礫を退かし、スタークの可愛い息子達を救助していた。
脱出する時に熱を出しているスタークの為に作った野菜スープをしっかり持って出て来た事にはその忠誠心の高さに驚いた。
が、よろけて鍋からスープがほとんど飛び散っていた辺りあんまり賢くはないのかもしれない。

キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースは私に駆け寄って来ると「君を騙してすまなかった。」と謝ってきた。
彼のキャプテンらしい素直さにロマノフも見習って欲しいものだと思ったが、直後に背後から肘鉄を喰らったのでロマノフには私の考えがばれてしまったようだ。
女の勘はこれだから恐ろしい。
スタークと瓜二つの顔をしている私にスティーブは「君の父親は?本当はスタークと双子じゃないのか?」と疑問を問い掛けてきたが、現代の整形手術を彼に教えるのはいろいろと大変そうなので「現代流の魔法だ。」とだけ伝えておいた。
後日“彼”から呼び出しが掛かるかもしれないが、整形手術にショックを受けるキャプテン・アメリカを見たくないだろうと言ってやるとしよう。

クリント・バートンことホーク・アイは私の顔を見るなり「なかなか面白い見物だった。」と私の記憶喪失を笑っていた。
「君が記憶喪失になったらロマノフを真っ先に君の元へ送ってやる。」と告げれば、唇を歪ませたバートンに私は思わず吹き出し笑っていた。


ごろりと寝転がった草むらの脇道を、ヘリから敵に撃たれ、ひん曲がり炎上した私の相棒だった愛車がガタガタと運ばれて行く。
駆け抜けた長い長い夜。

『「私は…“アンソニー”。
S.H.I.E.L.D.のエージェント。
任務は“トニー・スタークの影武者”。
“白いシャツ”を着て、手に“鉄パイプ”を握って戦う記憶喪失の“僕”。」』

さらりと風が労るように私の頬を撫でてゆく。
瞳を開けばキラキラと星が瞬き、私はそっと“アンソニー”の物語を囁いた。




※アンソニー視点…記憶喪失から“僕”“白いシャツ”“鉄パイプ”、同行者を“スティーブ”表記。
※トニー・スターク視点…アンソニー記憶喪失から“私”“黒いシャツ”“ペール”、同行者ジャーヴィスを“そいつ”“相棒”“パートナー”表記。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理人にだけ読んでもらう

HOME

カウンター

プロフィール

瀬対ユウキ

Author:瀬対ユウキ

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム

リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。