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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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AVENGERS小説【星が瞬く夜[4]《前編》】

AVENGERS小説【星が瞬く夜[4]《前編》】

記憶喪失のお話。
書いてしまった第4話。完結編。
神様以外、全員集合。
この物語にはオリジナルキャラが出て来てますので苦手な方はご注意下さい!


『追記を読む(↓)』からどうぞ。



----------------






発砲音と一緒に左腕に鋭い熱が走った。
じりりとした痛みで銃弾が腕を掠めたのだと気付く。
眼差しを一気に緊張状態に強め、盾を構えながら敵方へと駆け出したスティーブに続いて僕も駆け出す。
スティーブの盾が弾丸を弾いて、敵の顎を的確に殴り上げ、振り向きざまに敵の体に盾を打ち付けて吹き飛ばす。
ガンッと頭を壁に打ち付けた敵からスティーブが振り向く。
その瞬間を狙っていたように持ち上げられた銃口を僕は手にしていた鉄パイプで強く叩き落とした。
敵の表情が歪んだのを確認して頭部にもう1撃打ち落とす。

死んではいない筈だ。
心臓が張り裂けそうな程にどくどくと落ち着かない自分に言い聞かせて、敵が床に落とした銃を拾う。

銃が燃え盛る炎にちかりと銀色に輝く。
銃のタイプはSF1860だ。
マガジンを取り出し装填された弾を見る。
掌に転がった弾は3発。
弾をマガジンに入れ直し、僕はそれを右手に持ちスティーブへと振り向いた。

「血が出てる。」

スティーブに問われて銃弾が掠めた左腕を見れば白いシャツに紅い血がじわりと広がっていた。

「掠めただけだ。」

肩を竦めて何でもないと言う体裁で話せばスティーブは心配そうに唇を歪ませるだけだった。


『君に問わせて欲しい。
君はアンソニー・エドワード・スタークを…トニー・スタークを知っているか?
彼がどんな性格で、どんな力を身に宿していて、どんなヒーローで、どんな仲間達と共に歩んでいるか?
嗚呼、知っているなら構わないんだ。
知っているならきっと、答えは見付かる。』


黒く抜け落ちた天井に行く手を遮られて僕は内心舌打ちをした。
この奥に屋敷の住人達がいると分かっているのに先へ進めない。
ざらりとした煤がまるで牢獄の檻を彷彿とさせ、僕の心を焦らせる。

「外側から回ろう。」

スティーブの提案に頷き、走り出そうとすれば、ヒュンッと風を切る音が響いて割れた窓硝子から細く黒い矢が壁に突き刺さる。
その尖端についた機械が紅いランプをちかちかと点滅させて僕は首を傾げた。
これも…知っている。

途端にスティーブが僕の肩を掴み床へ屈ませ、盾で何かに備えて防御する。
ドンッと心臓を震わすような爆音が響き渡り、バラバラバラと壁から大きな破片と砂埃が飛び、僕はスティーブに問い掛けた。

「今のは?」

「クリント・バートン。
ホーク・アイだ。
S.H.I.E.L.D.の暗殺者で弓の名手。
ほら…」

立ち上がり、シャツについた埃を払いながらスティーブに促されるまま壁に視線を向けると、そこには今の爆発で開いた空間が広がっていた。
大人2人でも余裕で先へ進めそうな大きな穴。

「道ができた。」

建物を壊した事は少しやり過ぎだけれどと言いたそうな様子だったが、微笑んだスティーブは壁の方を見詰めて、そうして瞳を見開いて声を張り上げた。

「スターク!」

バンッと僕の後方から鳴り響いた銃声。
続いて聞こえるカラカラと銃が床に落ちる音。
硬直した身体をゆっくりと振り向かせれば紅い髪を揺らしたロマノフが、2つの銃口を向けて敵を威嚇していた。
撃ったのは彼女だ。
敵の1人が床に転がっている。

そして、ロマノフの鋭い視線の先には武装した敵が数名、その内の1人が黒いガウンを着た屋敷の主人の首を腕で絞め、彼を拘束していた。
息を切らせた屋敷の主人の頭にごつりと銃口を向け敵の1人がにたりと笑う。

「動くな。」

人質に捕られた主人は首を絞められているせいか切れ切れの呼吸でひどく顔色が悪い。
顳みからたらりと流れた血に敵が銃で傷口をえぐれば主人は唇を歪ませて、敵を鋭く睨み付けた。

「これで…勝った…つもり…か?
…っ、人質を…捕るなんて…けほっ、小物が…する事だ。
まあ…あんたには、こほこほっ、お似合いだ…。」

咳込みながら、ひどく掠れた声で敵を揶うように主人の唇が動く。
そのまばゆい瞳が一瞬だけ敵の後方を示すように流れて、僕ははっと息を飲み込んだ。
スティーブも“それ”に気付いたらしく、敵に気付かれないように盾を強く握り直していた。

「そうね。彼の言うとおり貴方達は雑魚だわ。
狙う相手を間違えてる。
貴方達が狙っている人物なら此処にいるもの。」

銃を下ろし、さらりと紅い髪を揺らしたロマノフは僕を顎で示す。
敵の気を引き付けようとしている事に気付いて僕は敵に一歩だけ歩み寄った。
一斉に僕に向けられた敵の銃口。
それを確認して主人の顳みに銃を構えたままの敵の唇がにたりと歪み、僕を見据えた。

「確認しよう。」

告げた敵はぐっと腕の力を強め、息を詰まらせた屋敷の主人の顳みから銃を移動させる。
頬を伝い、顎下へ、確実に脳を撃ち抜ける位置はずらさす、心臓が撃ち抜ける胸元へと銃を突き付ける。
銃口を器用に動かし、黒いガウンとシャツを開けさせ、主人の胸元の歪な肌を露出させる。
その動作を見た瞬間にざわりと心臓を鷲掴みにされた気分になり、僕は知らず知らずに自身の胸元を掴んでいた。
敵の銃口が主人の心臓部の肌にぴたりと重なる。
にたりと笑った敵の唇。

「決まりだな。」

敵の指がトリガーを引こうとカチリと動く。
そんな幻覚に襲われ僕は咄嗟に銃を引き抜き、銃口を敵へと向けてしまう。
途端に動き出した“それ”は敵の頭を殴り飛ばし、分裂した腕で屋敷の主人から銃を引き離す。
それを合図にロマノフの蹴りが敵の頭を蹴り砕き、スティーブの投げた盾が複数の敵にぶつかり銃を落として、窓の外から射られた矢が敵の急所を的確に捉えてゆく。
一気に戦場と化した室内。
僕は床に倒れた主人の傍へと向かい、銃を構えながら彼を庇う。

『トニー様。』

安堵したような声が頭上から響き、びくりと体を震わせれば、金属で出来た“そいつ”…ロボットなのか?が肩のパーツを開き、躊躇いなく僕達へと向かってくる敵に小型のミサイルを発射した。
形状はミサイルだが爆発はない。

次々と倒れてゆく敵に銃を構えていなくても大丈夫そうだと僕は判断して、床に倒れたまま動かない主人の腕を肩に回し、体を抱え上げる。
熱が出ているのか、布越しでも分かる程に体温が高い。
顎髭を撫で、首に触れればその熱さに掌がじわりと濡れた。
呼吸も浅い。これはマズイ。
ぐったりとする彼の体を誰かに一緒に支えてもらおうと振り向けば、圧倒的な強さで敵を薙ぎ倒す彼等に“僕”が囲まれているという事実に、ぐいっと体を蚊帳の外へと引っ張られたような感覚に襲われた。
此処にいる自分に違和感がある。そんな感覚だ。

「…奥に…息子が…。」

掠れた主人の声が僕の耳に届いて、僕はもう1度言葉を聞き取ろうと主人の顔を覗き込んだ。
はらりと髪を落としながら僕へと動いた主人の眼差し。
その瞳にドクンッと心臓が大きく高鳴った。

どうして気付かなかったのだろう?
この瞳、この顔立ち、この唇、この髪型、この姿は…!

最初に会った時、彼が僕を見て驚きの表情を見せたのは当然だった。
全身の震えを押さえながら、僕は窓硝子に反射する“僕”と“屋敷の主人”の顔を見比べた。
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