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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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IRONMAN小説【澄み渡る空に君の声】

IRONMAN小説【澄み渡る空に君の声】

ゲイリー→∞→∥(ブロック!)ジャーヴィス×トニーです。
ゲイリーさんが相変わらずの変態です。(笑)

『追記を読む(↓)』からどうぞ。




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澄み渡る空。さざ波の音。剥き出しの岩壁。
そこは自然に還ったと言うに相応しい光景だった。
ほんの数カ月前まで人工物と自然とが混じり合い、美しい人の営みを作り上げていたとはもはや思えない光景だった。

バタンッと車の扉を閉めて“男”が降り立つ。
マリブの海の輝きを真っ黒のサングラスで反射させて、男はすうと息を吸い込んだ。
空気は肺に染み渡り男の体内を、脳内を存分に満たしてゆく。
此処は“そうゆう場所”なのだ。

ざっざっと足音を踏み鳴らし岸壁へと歩を進める。
風にさらりと揺れた花がそこに落ちた機具を主張して男は屈み込んだ。
震える手で落ちていた小さなドライバーを掴み、それに流れた日々の思い出を重ね愛おしむように撫で回す。
はあと息を吐き出せば男はドライバーをポケットにしまい、きょろきょろと辺りを見渡した。

いまだ周囲に残る彼の生活の小さな破片。
男は手を伸ばしそこに落ちていた金属の破片を掌にのせる。

太陽の光を反射させキラキラと輝く金属の破片に男の唇がうっとりと微笑みを浮かべた。

「そこで何をしている?」

突然に背後から掛けられた声にびくりと肩を震わせた男はあわてふためき背後を振り返る。

「違う!俺は泥棒じゃあないんだ!俺はただ……」

「ミサイルを撃ち込まれたんだ。盗めるような物はもう何も残ってな…い…」

尻切れ調子で男達の声が止まった。
トニー・スタークは驚きに目を見開きぴたりと動きを止め、かたや“男”=“ゲイリー”は目の前に立つトニーに口を開き同じくぴたりと動きを止めてみせた。
国民的なヒーローとそのファンの再会である。
もっともトニーにとっては“身の危険を感じざるおえないファン”であったのだが。

ぴたりと止まった時間から先に動いたのはトニーの方だった。
ひくりと唇を引き攣らせ「此処で何をしている?」とゲイリーに問い掛ける。
そうして問い掛けたのは間違いだったとすぐにトニーは気が付いた。
ゲイリーはトニーに話し掛けられたと気付けばぱああと見て明らかに顔を華やげ、興奮した様子で「トニー!」と手を広げトニーに近付いてくる。
抱き着かれると身の危険を察知したトニーは指でゲイリーを指し示し「止まれ!」と命令する。

トニーの言う通りにぴたりと動きを止めたゲイリーはにっこりと微笑みながら自身の胸を押さえる。

「嗚呼、分かるよ。トニー。
俺も感動の再会に胸が破裂しそうだ!」

はああと興奮の醒めないゲイリーは感慨にふけていると言わんばかりの息を吐き出す。
何処か別世界へ意識が飛んでしまったかのように熱っぽい眼差しでトニーを見据えるゲイリーの思考は、既に本人にとっての素晴らしき暴走を繰り広げていた。
トニーは内心舌打ちしながら回転の速い脳で苦手な相手への対応を導き出す。

「あー…そうか。私も君に会えて嬉しいよ。
すまない、君と会った事ある?名前なんだったかな?」

惚けた振りをすれば大概の相手は勝手に落胆して自分の元を去って行く。
これが幼少期から大勢の好奇と嫉妬の目に囲まれ生きてきたトニーの自らの心身を護る為に編み出した防衛策の1つだった。
…筈だったのだが。

「嗚呼、俺も嬉しいよ!
運命だ、トニー!
俺、信じてたんだ!もう1度トニーと巡り逢えるって。
俺は、トニーと結ばれる運命なんだ!」

聞く耳を持たないゲイリーには意味がない。
がばっと抱き着かれトニーは思わず体を強張らせ固まるが、ゲイリーは構わずトニーの首筋にすりすりと頬を擦り寄せる。
そうして首筋にゲイリーの濡れた唇の感触が走れば、背筋に冷や汗が伝いトニーはゲイリーの体を思いっきりに引きはがした。

「すまないが、ゲイリー。
私は君のような…」

趣味は持っていないと告げようとした瞬間にゲイリーの唇から「ふおおああああ!」と大きな叫び声が響く。
突然のゲイリーの異変にびくりと肩を震わせたトニー。
そんなトニーの両肩を震える手でぐっと掴んだゲイリーは眉をさげ、昂悦の表情で言葉を発した。

「トニー、もう1回。」

「はっ?」

「もう1回、呼んでくれないか?俺の名前を。」

薄気味悪さと恐怖感に唇を引き攣らせながらトニーは恐る恐る声を絞る。

「あー…ゲイリー?」

「はうっ!」

トニーが名前を呼んだ瞬間に至高の微笑みを浮かべぴくぴくと体を震わせたゲイリー。
その両手がトニーの肩から離れ自身の股間へと伸び、そこを隠せば、ゲイリーは前屈み気味になりながらトニーへと恥じらうような微笑みを浮かべた。

「トニーの生の声で…」

『トニー様、至急タワーへお戻り下さい。
速やかに滅菌作業を行います。』

ひくりと唇を引き攣らせたトニーの耳元へ優秀な電脳執事であるジャーヴィスからの通信が入る。
「あ、嗚呼、そうだな。」と慌てて車に乗り込んだトニーはゲイリーから逃げるようにマリブの海から立ち去って行った。

立ちのぼる砂埃。
トニーも毎日聞いていたのだろうさざ波の音に抱かれながら、ゲイリーはポケットから取り出したドライバーを手に「嗚呼、トニー!」と呟いた。
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