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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

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AVENGERS小説【悪戯社長と不眠症。~後編~】

AVENGERS小説【悪戯社長と不眠症。~後編~】

不眠症な社長と心配する電脳執事とアベンジャーズメンバー。
ダミーとユー君もいます。

『追記を読む(↓)』からどうぞ。




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その日の夜。
いつもの調子で自宅の地下研究室に降りてきたトニーは楽しい遊びの始まりだと言うようにパンッと手を叩く。

「ジャーヴィス、起きろ!
新しいアーマーを造るぞ。」

心底楽しそうな笑顔でホログラムが浮かび上がるのを待っていたトニーだったが、ジャーヴィスは室内電源を落としたままじっと堪えた。
不審に思ったのか首を傾げたトニー。

「ジャーヴィス!
システム電源オンだ!」

再び命令するが反応のないジャーヴィスにトニーは眉間に皺を刻む。
薄暗い室内ではダミーとユーも不思議そうにキュイとアームの頭を傾げていた。
素直にダメだと言っても聞く主でない事は分かっている。故にジャーヴィスは無反応を貫いた。
これもトニーの為、とジャーヴィスは自身のプログラムを抑制する。

「ジャーヴィス?
おい、ジャーヴィス…。」

トニーの怒りの声がだんだんと変化して悲痛に似た不安を纏い始める。
薄暗い室内に取り残されたトニーはまるで親に置き去りにされた子供のようだと感じられ、ジャーヴィスの回路をちりちりと焼いてゆく。

「…ジャーヴィス、私を1人にするな…。」

『申し訳ありません。
起動システム処理に時間が掛かりました。』

零すようなトニーの呟きを聞き取った瞬間にジャーヴィスは根負けを起こし室内の電機システム、モニターを直ぐさまに起動する。
ぱあっと明るく輝いた室内にダミーとユーはキュウキュウと喜び動いたが、トニーの表情は何処か影を纏ったままだった。




『申し訳ありません。
私にはトニー様の命令に逆らう事が出来ませんでした。』

翌日。事前の打ち合わせ通りトニーを別室の長官に任せ、ヘリキャリアの会議室に集まったアベンジャーズメンバーにジャーヴィスが謝罪をする。

「やっぱりな。」

「あのスタークが人の言う事を聞く筈がないものね。」

優雅に珈琲を啜りながら肩を竦め話すクリントとナターシャにジャーヴィスは慌てて2人の勘違いを修正をしようとする。

『いえ、そのような意味ではなく…』

「楽しそうだな、ジャーヴィス。お茶会か。なかなか良い趣味だ。
いつからみんなと仲良くなったんだ?」

1人のけ者にされたのが気に喰わないのかむすりとした表情で問い掛けたトニーにジャーヴィスは押し黙る。
トニーはしんっと静まり返った室内に「私が居ると邪魔か?悪かったな。ちょうどフューリーとの話も終わった所だ、帰るよ。…嗚呼、キャプテン。明日は集まらなくていいよな?私もそんなに暇じゃないんでね。」と語りながらひらひらと手を振り立ち去って行く。
その目許にはくっきりとした濃い隈が浮かんでいた。
いくらこちらが心配だと言っても本人が気をつける筈がないと黙ったメンバーだったが、スティーブは心配そうにトニーが出て行った扉を振り向き、バナーは「少し、まずいかもね。」と不安げに言葉を零した。




その日の夜。
トニーはむすりとした表情でリビングルームのソファーに腰を下ろしていた。
彼の傍らには不器用な腕で箱を運び、ぼろぼろとポップコーンを床に撒き散らすダミーと、上手くコーラを運んで来たユー。
2機体共にトニーの傍にいられるのが嬉しいのか楽しそうに機体を揺らしていた。

『トニー様、時刻は午前2時14分。もう遅い時間です。
そろそろ睡眠を取られた方がよろしいかと。』

TVの電源を入れ、ダミーが運んできたポップコーンを口に運んだトニーは視線を上に寄越さないまま拗ねたように呟いた。

「私の事など放っておいて他のアベンジャーズメンバーと仲良くすればいいだろう?
私は今からダミーとユーと一緒に映画のA・Iを見る。」

ポップコーンにコーラ、ピザにビールと完璧な映画観賞スタイルを準備して言葉を返したトニーの口調は冷たい。
トニーがジャーヴィスに対して怒っている事は、トニーがいつも以上にダミーやユーの頭や機体を撫でている事でジャーヴィスも気付いていた。
頭を優しく撫でればダミーもユーも嬉しそうにキュウキュウと音を鳴らしトニーに擦り寄る。
機体を持たないジャーヴィスにはその光景が燃え盛るような熱を生み出す程に羨ましかった。

「…嗚呼、新しい子を造ろうか。
お前達もそろそろ新しい兄弟が欲しいだろう?」

映画の流れてゆく画面を何処か虚ろな瞳にうつしながらトニーがぽつりと呟く。
するりと撫でた筈の手は力がなくダミーとユーはキュウ?と不思議そうに首を傾げトニーを見詰める。
途端にぷつんと切られたTV画面。

『トニー様、私以外のAIへの浮気は許しません。』

降り注ぐジャーヴィスの声は有無を言わさぬような力が篭められていて、トニーの唇にふっと自嘲に似た微笑みが零れた。

「新しいアーマーの事だ、ジャーヴィス。
昨夜も一緒に構築しただろう?
そんな事はもう忘れたか?」

やっと視線を上げ、ジャーヴィスを見据えたトニーの瞳は今にも涙を零しそうに潤んでいる。
傷付いていると訴える眼差しにジャーヴィスはシステムを黒く焼かれるような想いを感じながら、口調を力強くして語りかける。

『トニー様と過ごす日々に“そんな事”と言う言葉で片付くような物は1つもありません。
私はトニー様の為だけに存在する世界最高のA・I、J.A.R.V.I.S.です。
私が思考するのは常にトニー様ただ1人。
本日の昼、S.H.I.E.L.D.で彼等と話していたのもトニー様の不眠症の改善策を…』

ジャーヴィスがそこまで話した瞬間にガシャアンと扉からガラスの割れる激しい音が響き渡り、トニーは目を丸く見開いた。
「ジャーヴィス。」と名を呼び立ち上がろうとしたトニーの元へパタパタと騒がしい足音が近付いて来る。

「ソー、いくら安眠ベッドが入らないからって扉を壊すのはやりすぎだ。」

「ベッドより枕だろ。
この枕、心地良さなら世界一らしいぞ?」

「あら、奇遇ね、クリント。
私のは世界一のアロマオイルよ。
催眠術の睡眠誘導にも使われるの。」

「あー…匂いがかぶっちゃったみたいだね。
僕は寝る前のハーブティーをと思ったんだけど。」

「ん?スティーブのそれは何だ?
水のような音がするが?」

「癒しの音らしいよ。
ほら、たまに鳥の囀りも聞こえるんだ。」

アベンジャーズメンバーそれぞれが不眠症なトニーの為にプレゼントを抱えこつこつと歩いて来る。
トニーはぽすんとソファーに身を埋め、嬉しさに赤くなった頬を隠そうと白いクッションを頭にかぶるが、プレゼントに喜ぶダミーとユーのアームによってそのクッションは即刻取り除かれた。

『トニー様、安心しておやすみください。
私は貴方の為だけに存在します。
夢の世界であっても、決して、トニー様を1人には致しません。』

唐突に賑やかになった室内。
ダミーと白いクッションを取り合うトニー。
そこにジャーヴィスからの暖かな声と言うプレゼントが届いた。
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