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零の音

瀬対ユウキによる【グローランサー シリーズ】中心非公式ファンblogです。

IRONMAN小説【ぐるぐるまわる】

IRONMAN小説【ぐるぐるまわる】

ジャーヴィスとダミーとユー君を擬人化しての社長お誕生日(5/29)おめでとうお祝い小説です。
社長お誕生日おめでとうございます!
これからも従者組と仲良しでいてください。

『続きを読む(↓)』からどうぞ。



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ぐるぐるぐるぐるまわる。
不器用な手に掴まれた赤色のクレヨンと黄色のクレヨンが狭いテーブルの両端でぐるぐるまあるい円を描いていた。
くりくりとした碧い瞳が画用紙をじっと見つめ、こてりと首を傾げれば短い金色の髪が小さく揺れ動く。
満足そうな微笑みを唇に浮かべると少年の擬体を持ったダミーは向かいの椅子に座るユーに視線をむけた。
ダミーとまったく同じ姿のユーは、これまたダミーとまったく同じ動きでダミーを見つめる。
ダミーの手には赤色のクレヨンが、ユーの手には黄色のクレヨンが握られている。
お互いに両手を伸ばしてクレヨンを交換したダミーとユーは嬉しそうに微笑んでまた画用紙に向かいぐるぐるとまあるい円を描きはじめた。
ぐるぐるぐるぐる。



こつこつと無機質な足音を響かせて室内に現れたジャーヴィスの視線がテーブルの上のダミーとユーに向く。
絵を描く事に疲れたのだろう、完成した絵を大事そうに握り締めて眠る2体にジャーヴィスは眼差しを僅かに細めた。
(本来ならばこのような事をしたくはないのですが…)と思考を迷わせながらもジャーヴィスは動き出す。
2体に気付かれないように手を伸ばして室内の機械を弄ってゆく。


「起きて下さい、ダミー。ユー。
トニー様がご帰宅されます。」

ジャーヴィスの掛け声にダミーとユーのスリープモードが解除され、2体は同時にテーブルから頭を持ち上げた。
豪邸の窓から見える空は霞みがかかったように暗くてダミーとユーは室内の時計に目を向けた。
午後11時30分。
ぎりぎり“今日”が終わっていない事にダミーもユーも安堵した。
今日は5月29日。
彼らの主人であり創造主のトニー・スタークの誕生日だ。

椅子からとんっと両足を下ろした2体は完成した絵を大事そうに抱えて走り出す。
大好きなトニーの誕生日をお祝いをする為にぱたぱたと玄関へと駆けた2体。
自身が主催する誕生日パーティーから帰宅したトニーが玄関の扉をカチャリと開けば、ダミーとユーは満面の笑顔でトニーに抱き着いた。

「ただいま、ダミー。ユー。
両足に抱き着くな、重い。
ん?どうした?手に持ってるのはなんだ?」

トニーの足に抱き着いた2体の手から画用紙が渡される。

「私への誕生日プレゼントか?」

驚いた表情で問い掛ければダミーもユーも「そうだよ。」と言うようにこくんと頷いてみせる。
その様子にトニーは酒で紅くなった頬を綻ばせて笑ってみせた。

「見ても?」

再び聞けば嬉しそうにこくんと頷くダミーとユー。
トニーがかけていたサングラスを僅かにずらし、開いた画用紙を見ればまったく同じような赤色と黄色の丸い物体が画用紙いっぱいにいくつも並んでいた。
トニーの眉に一瞬皺が寄る。

「…随分と独創的だな。
キャプテンに絵心を教えて貰ったのか?
嗚呼、いや、これはこれでなかなかに素晴らしいな。
まさに見た目どおり…子供らしい絵だ。
これは?アイアンマン?私か?」

画用紙の一際大きな丸い物体をトニーが指させばダミーとユーはにっこりと微笑んでこくんと頷いた。

「嗚呼、有難う。
お前達から誕生日プレゼントを貰えて嬉しいよ。
リビングに行きたいんだが、離れてくれるか?
足から。」

トニーの言葉でまだ玄関に突っ立ったままだと気付いたのか、ようやくダミーとユーが抱き着いていたトニーの足から離れる。
リビングへと機嫌良く歩き出したトニーの後ろをダミーとユーは満足そうに足並みを揃えてとたとたとついて歩いていた。


リビングルームの白いソファーの上でダミーとユーは再びスリープモードに入っていた。
もともと不器用である2体にとって絵を描く作業は大変な事だったらしく、トニーが帰宅して1時間と経たない内に2体はソファーの上でぱたりと動かなくなった。
しかしその両手はトニーのシャツの裾をしっかりと掴み、安らかな寝顔をみせている。

「最高の誕生日だな。」

酔い醒ましの氷水を飲みながら呟いたトニーはおもむろにサングラスを外すと室内の時計を構うジャーヴィスにそれを手渡した。

ジャーヴィスの物悲しげな眼差しがトニーへと向かう。

「そんな顔をするな。」

トニーは笑ってみせるが瞳は赤く充血しているし、目の下にはくっきりとした暗い隈が浮かび上がっている。
飲酒のせいではなく寝不足のせいだ。
真夜中に掛けていた不自然なサングラスは目周辺の異変を隠す為。

「室内の時刻はすべて元に戻しました。
現在の時刻午前5時42分。
もうすぐ夜明けです。」

ジャーヴィスの両手が優しく包み込むようにトニーの頬に触れて、白い手袋を嵌めた親指が瞳の下の隈をなぞる。

「もう眠られた方がよろしいかと。
パーティーで疲労している身体に徹夜は堪えます。」

ジャーヴィスの心配を分かっているからこそトニーはゆるく微笑んだ。
実際にトニーが帰宅したのは日付も変わった、5月30日の午前4時48分だった。
そこで誕生日プレゼントを渡そうとダミーとユーがずっとトニーの帰りを待っていたのだと聞き、トニーはジャーヴィスに協力をさせ室内の時計をすべて巻き戻し、29日の夜に帰宅したふりをしたのだ。

長時間のパーティーによる疲労にトニーの体調を心配するジャーヴィスは帰宅後そのまますぐにでも眠りについて欲しかったのだが。
それでもダミーとユーの為に行動を起こしたトニーにジャーヴィスの心が激しく揺れ動く。

碧い瞳が夜明けの気配を察して今にも深い眠りにおちてしまいそうなトニーの瞳を見据える。

「おやすみください、トニー様。
あとの処理はすべて私が。」

優しい魔法をかけるようにトニーの瞼にキスを贈ったジャーヴィス。
トニーの唇が「最高の誕生日だ…ジャーヴィス…」と淡く微笑み、眠りの世界への呼吸をゆっくりと刻みはじめた。


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